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第11話
「スベク、それって.....かなり悲惨な話だよね」
荒んではいなそうな鹿狩の様子に、どんな神経をしているのかと顔を見返す。
ここに来ても絶望すらみせないのは、そもそも希望を持っていないからか。
「俺は自分を許せないし、許す気はない。断罪されるのならば、何でも受けて立つ」
ここに来たことを断罪だと受け入れているから、だから理不尽さにもへこたれることがないと言うのだろうか。
ザナークは、困惑したように鹿狩を見つめた。
強靭すぎる精神だが、それは、こいつ自身を追い詰めているのではないか。
「仕方ないだろ、オマエは抑制剤効かないし、運命の番なら、その誘惑に抗えるわけが無い。お前の責任は無いよ」
よしよしとその艶やかな黒髪に触れて撫でると、鹿狩はすっと心地良さそうに目を伏せる。
「弟は、まだ12歳だった。.....純粋だったのに、俺が穢してしまったんだ」
「もっと、緩く生きなよ。スベク。自分を大事にしろよ…...大丈夫、きっとガッチリ体型のオメガでも需要はあるはずだから」
励ますように告げるザナークに、鹿狩は安堵した表情で頷き端末を置いた。
「お前は優しい男だな。ザナーク。感謝する。」
「うーん、スベクは、話し方も堅いんだよね。もっとラフになりなよ。俺の真似していいからさ」
疲れ切っている鹿狩にザナークは、ありがとうでいいんだと呟いた。
「スベクは、オメガがどんなものかを知った時は絶望しなかったのか」
「しなかったな。.....面白いと思った」
とんでもないことを言いながらねむたいと軽い寝息をたてはじめる彼に、ザナークは自分との違いを見せつけられて、軽く頭を指で弾く。
「ホントに理解できねえな、アンタのことは」
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