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※第12話

翌々日、発情期が来たザナークは看守に連れていかれてしまったので、鹿狩は1人房に残された。 端末のシステムは既に攻略して支配下に置いたので、そこから探れるサーバーへとアクセスをする。 この施設が裏金を作っていることや、経済界への癒着があることは、看守たちの言動で明らかだ。 遠野まで噛んでいるのは、厄介だな。 あの執着ぶりならば、どうにか遠野を誘惑することも可能かもしれない。 外部通信をハックして、友人へとアクセスをすると要件を伝える。 とりあえず、裏をとりきらないとシラを切られたら元の木阿弥だ。 一通りの作業を終えると、鹿狩は何冊か本を端末に入れて読み始める。 看守から週に1度講義があり、今後の身の振り方についての職業訓練の実習があると言われている。 ザナークが言うには大体が風俗か何かに売られるというので、性的な実演が多いらしい。 遠野も講義がどうこう言っていたしな。 発情期の飢えもなく、抑制剤を手に入れための金も入るうってつけの職業である。 短絡的だけどな。 しかし、皆はアルファに気に入られて後見を得るのを必死に狙う。アルファに抱かれれば、通常よりも早く発情期は終わるらしい。 番となれば、1度抱かれれば収まる。 誰だって苦しいのは、続きたくないだろう。 生殖のための性とはよく言ったものだ。 前回は、運命の番の相手に抱かれたから、すぐに収まった、今回もアルファに抱かれて3日と短かった。 普通ならば、1週間は続くと言われる。 あんな状態を1週間続けたら、おかしくなってしまいそうだ。 発情期に慣れる頃には、大抵のオメガがセックスのことしか考えられなくなるらしい。 「俺もどうなるか分からないということだな」 独りごちで、ゴロッとベッドに横たわると、鉄の扉が開いてガラガラとストレッチャーが運ばれてくる。 「ーーっ、あ、ひっ、ひい、あああ、たひゅけて、あ、ああ、ああ、からら、あひゅ、いいい」 拘束された体を捩り明らかに異常な様子で、ザナークは声をあげている。 「どうした、んだ」 鹿狩は慌てて立ち上がり看守に問いかけると、看守は首を横に振った。 「ゲストに発情期なのに、薬を使われたらしい。抑制剤を打ったが.....かなり衰弱している」 ザナークの唇から白い泡が吹き出し、懇願するように腰を掲げる。 「なんとか、出来ないのですか」 「抑制剤と鎮静剤は、副作用を起こすしこれ以上薬を使うのは危険だ」 身体はリミッターが外れてしまっている様子で、掠れた悲鳴だけが響く。 鎮静剤が効かないならば、これ以上活動させたら衰弱死する。 鹿狩は、痙攣しながらも刺激を求めて鳴くザナークの鳩尾に拳を叩きつけて意識を奪った。

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