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 部屋が暗くなり、ようやく自分がずっと秋良を見つめていたのだと急激な羞恥心が芽生えてくる。慌てて、視線を外しベッドから腰を上げる。 「せ……んぱい?」  動く気配に気づいたのか、秋良が薄っすらと目を開き体をゆっくり起こす。近くにいた脩を不思議そうに見上げている。 「ごめん……」  動揺のあまり、挙動不審になったうえ何故か謝罪言葉を零してしまう。これじゃあまるで、やましいことをしてたみたいだった。 「……そろそろ夕飯の時間だから起こそうと思って。ごめんな」  下手な言い訳を無理やり口に出し、秋良を見ないようにベッドから離れる。 「もうそんな時間なんですね。すみません」  背後で秋良がベッドから降りる気配がする。激しく打つ心臓を抱えたまま、秋良を連れ添いレストランへと足を向けた。  夕食を終え、昨日と同様に交代でシャワーを浴びる。  明日には会社に戻らなければならない。きっと、島崎から秋良の事を聞かれるだろう。家庭環境の不和からくるものだと、言ってしまって良いものなのか。脩は頭を抱え込む。 「どうしたんですか? なんか先輩っていつも思い悩んでますよね」  いつの間にか浴室から戻ってきたようだ。秋良が頭をタオルで拭きつつ、向かいのベッドに腰を降ろした。これ以上、隠し通すのも秋良にとって酷なのかもしれない。脩は一つ溜息を零すと、秋良の目を見つめる。 「島崎課長……田端の事をすごく心配してるんだ。自分の指導が行き過ぎたんじゃないかって……」 「すみません……。感情が高ぶってしまって……」  案の定、秋良の顔が曇ってしまう。 「泣くなとは言わない。きっと、田端は真面目だから感情が高ぶっちゃったんだろ? でも、ずっとそうされてしまうと、みんな心配しちゃうんだよ。だからさ、こんな言い方変かもしれないけど……」  脩はどう思われるか不安だったが、言葉を続ける。 「僕の前だけにしてくれ」 「えっ?」 「つまり……泣きたくなったら僕のところに来て。そしたら、いくらでも励ますから」  最悪、人気のない場所に連れ込んでしまえば、泣いてもバレることはないだろう。 「……はい。ありがとうございます」 「課長には大丈夫ですと伝えておくから」 「すみません。いつも先輩に迷惑ばかりかけて……」  悄然とした表情で、秋良が頭を下げた。

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