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「前世の恋人なのかもな。だから同調して見れたのかもしれない」
清治は優しげな視線を脩に向ける。同性愛に関してなにも突っ込んでこないことに、少しホッとする。
「その後輩とは付き合ってるの?」
「……付き合ってはない」
たった一度抱かれて、好きだと言われたけど、返事らしい返事をしていないのだから違うのだろう。どこから恋人と呼ぶのか、その定義がいまいち分からないこともあった。
「そっか……でも、大事にしたほうが良い。今生で会えたのも、二人の愛の執念によるものだと思うしね」
軽く肩を叩かれ、脩は素直に頷いた。そういえば、秋良に地元に帰ることを伝えるのを忘れていた。後で、固定電話で連絡しなければ。
気づけば、日が傾き蝉しぐれが鳴り響き部屋にはオレンジ色の夕日が差し込んでいた。
「もう、夕方だね。そろそろ夕飯だから広間に行こうか」
清治が腰を上げたのを合図に、脩も立ち上がる。
部屋を出る際に、脩は清治の部屋を振り返る。またいつここに入れるか分からない。それでも、不思議とまた来れそうな気がした。
大広間につくと、今度は長いテーブルが置かれ女性陣が腕を奮った料理が並べられている。
女性陣は嫁にきているせいか、白いモヤが現れている人が少ない。叔母はもちろん白いモヤを背負っていて、脩に気づくと朗らかな笑顔を向けてくる。負い目を感じている事はわかっていた。だからこそ、脩も気を使って努めて普通に接している。
「しゅうにーちゃん。さっきはごめんなさい」
目を赤く晴らした美世が駆け寄ってきて、脩にしがみつく。嫌われてないことにホッとして、美世を膝に乗せる。
「僕もごめんね」
「しゅうにーちゃんはわるくないもん。ミヨ、もっとちゃんとオベンキョーするから」
力強い目で見据えられ、将来有望だと言われているのも納得できる。
各自が席に着くと、宴が始まり騒々しく酒が酌み交わされた。
脩のもとに、代わる代わる人が来ては酒を注いで行く。これでも、本家の長男の代役できているのだから嫌でも媚びに来るのだろう。
会社での取引先との接待に似ていて、苦い気持ちがこみ上げてくる。
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