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「夏生」 拷問じみた休憩タイムの間、身も心も竦み上がって、ただ頑なにベッドにへばりついていた夏生はネクタイの下で何度も瞬きした。 「悪かった」 見えない鷹栖に詫びられて、横向きに丸まったまま力なく首を左右に振った。 「鷹栖先輩……悪くないです……お、おれが……鈍くて、手錠、かけられちゃったから……」 目隠しを外す気力すら湧かずに、だけど何も悪くない鷹栖に詫びられるのが申し訳なくて、むりして笑った。 「おれ、だめですね……もっと瞬発力あげなきゃ……鷹栖先輩みたいに……お、お肉中心の食生活にしたらもうちょっと力つくかなぁ、朝も昼も夜もお肉がっつり食べれば、」 中途半端なところで夏生の台詞は途切れた。 え、あれ、これって……。 「無理すんじゃねぇ」 「っ……せんぱ、い」 同じくベッドに横たわった鷹栖に背中から抱きしめられて夏生はやっと本音を零した。 「鷹栖先輩……おれ……怖かった……」 自分の両腕にすんなり身を委ねる夏生を今一度抱きしめて、鷹栖は……胸の内で平凡羊に深く詫びた。 身体・持ち物検査は敢えてしなかった。 頭のいい安城が仕掛けてきたブラフ。 もしかしたら鍵を持っているかもしれない。 察してはいたが見過ごした。 夏生は自分のものだと外敵に知らしめる絶好の機会だと思った。 同時に、俺らしくねぇ、セコイやり方だと、鷹栖は内心自嘲した。 何も知らずに隙だらけだった自分自身に落ち度があったと言い出す夏生が胸を掻き毟りたくなるくらい健気でいとおしくて堪らなくなる。 「……っ」 あ、これって。 キス……されてる。

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