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「……」 えっ、あれっ、反応ない……? これってもしかしてヒかれてる? せ、先輩が言うから鳴いてみたんですけど……これじゃあ、おれがすべって恥かいたみたい……。 一匹狼のノーリアクションぶりに、ちょっとばっかし理性を取り戻した平凡羊、目許を覆い隠す自分のネクタイをそろそろ外そうかと後頭部に両手を回した。 「あれ、結構きつく結んで……先輩、すみません、コレとってもらえ、」 「まだそのままでいろ、夏生」 いつにもまして低めの声で呼号されてピタリと一時停止した夏生は、次に聞こえてきた音色に耳を疑った。 え……っカチャカチャって、コレ、ベルト外して……え、え、え……ジィィーーーって……ファスナー下ろす音っ……え、え、え、え……まさか……まさかですよね……? 今から「本番えっち」に突入ですか? 「せ、先輩っ? あのっ、先輩!? 先輩!!??」 「先輩先輩うるせぇ」 「先輩ズボン脱いだんですかっ?」 「ラブホで脱がねぇでどうすんだよ」 夏生は……ネクタイの下で目を見開かせた。 火照った熱源に触れた、自分よりもっと硬い、もっと熱い、もっともっと屹立した感触。 これって……まさか……ううん、まさかじゃない……鷹栖先輩の……。 「あ……」 ズリ、と先端同士が触れ合った。 「た、鷹栖先輩……」 「最後までしねぇから安心しろ」 ズリ、ズリ、さらに触れ合って、擦れ合う。 これまでに経験のない際どい摩擦感。 鼓動がせり上がる。 「よく見てみれば。お前の、可愛いのな」 路地裏の薄暗がりで背中越し、前回は視界において曖昧だった輪郭が天井の照明に照らされて鮮明となり、まだ誰の温もりも知らない純潔に鷹栖は自然とそんな感想を口にした。 夏生にとっては辱め以外の何物でもない。 平凡羊だって、一応、男の子だ、雄の象徴を可愛いなんて言われてプライドが傷つかないわけがなく、デリカシーのない一匹狼に言い返そうとした。 「ひゃん……っっっ」 ズリ、ズリ、ズリ、ズリ、より一層過激になった擦れ合いっこに文句は一瞬にして引っ込んだ。 それなりに経験を積んだ、色濃く隆起した、鷹栖のペニス。 夏生の初心な熱源に纏わりつき、過度に密着し、ちょっかいをかけてくる。 不埒な擦れ合いっこに加わった鷹栖の利き手。 互いを纏め上げ、長い五指を添え、しごき立てた。 こ、こ、擦れてる、先輩のと擦れちゃってる、めちゃくちゃ擦れ合ってる。 先輩の、すごいんですけど。 お、お、大きいんですけど。 なんかすごくきもちいいんですけど、どうしよう、どうしよう、どうしよう……。 「はぁ……ッ」 熱を含んだ鷹栖の声に夏生は鼓膜どころか腹底まで震わせた。 初めて耳にする一匹狼の雄めいた息遣いに全身がゾクゾクした。 「んっ、先輩ぃ……っ熱い……っおれ……」 擦れ合う昂ぶりに添えた利き手を動かしていた鷹栖は薄目がちに夏生を見下ろした。 うっすら汗ばむ額に張りついた前髪。 目隠しのネクタイが倒錯的な興奮を煽る。 二人分の唾液で満遍なくしとどに濡れた唇。 いつにもまして瑞々しく潤い、艶めいて、無性に惹きつけられた。 「……キスするぞ、夏生」 わざわざ宣言してきた鷹栖に夏生はコクンと頷いた。 「……キス、ください、せんぱい」 次の瞬間、奪われた。 吐く息も食い尽くされる勢いで。 擦れ合って、共にしごかれて、どんどん発熱していく彼の質感に理性が溶けていく。 自然と浮きがちになる細い腰。 摩擦感を高めようと不器用に揺れ、平凡羊の思いも寄らない大胆行為に一匹狼の発情は加速した。 脳天まで溶けそうになる猛烈刺激に溺れ合って、二人してほぼ同時に弾ける寸前、夏生は思った。 ……もしも鷹栖先輩に食べられちゃったら、おれ、どうなるのかな……。 「夏生」 「はい? 鷹栖先輩、なんですかっ?」 「もう一回鳴いてみろ」 「っ、っ、っ、学校ではおれ鳴きませんっっ!!」 一匹狼と平凡羊の弱肉強食愛、まだまだおかわりが続くようだ。
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