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「なんだよ、その足の長さは。舐めてんのか」
「は?なに?智ちゃん朝からピリピリしてるねー。カルシウム不足?ちゃんと牛乳飲んだ?」
「飲んだよ!毎日コップ3杯は飲んでるよ!」
「やっぱり牛乳飲んで背が伸びるって嘘なのかな~」
「ころす」
「うそうそー!朝からそんな物騒な単語吐かないで。こわー」
律が隣でわざとらしく口に手を当てて、怖がる仕草をする。それにもイラっとして俺はさらに歩みを早めた。
そもそも俺はチビじゃない!こいつが高過ぎるだけであって、俺は平均だ!普通だ!170cmこそ無いものの168cmで、……うん、ほんとね。170cmは欲しかったよね。切実にね。
「ところでさー、智ちゃん」
俺がピリピリしてるのを全く気にして無い様子で律がこちらを見る。
「E組の鈴元ちゃん知ってる?」
「あ?鈴元?………あー、ああ、うん」
「この前初めて話したんだけど、あの子可愛いよね~」
男子校のE組にいる鈴元くんね。
はい、ここ重要でーす。わざわざ太字で表現するくらい重要でーす。
男見たって可愛いなんて思わねえつーの。
しかし俺のゲンナリの原因である親友。この学校に染まってしまった律は、この学校に入ってから、もはや何人の男と付き合ったか数え切れないほど手を出しまくってる。
俺も律に紹介されて最初の3~4人は覚えていたが、5人目くらいから面倒臭くなってやめた。どうせ俺とは関わりねえし、そもそもすぐ変わるし。
ちなみに相手はみんな目が大きくてまつげの長い、律曰く可愛い男の子ばっかりだ。
今日も元気に気に入った可愛い男の子の話をしてくるんだから律ってばほんとお茶目さん!
元からそっちの気があったのかもしれないが、一応律の名誉の為に言っておけば中学までは限りなく普通だった。
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