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さりげなく壁に追いやられた。これはあれだ。よくある、壁ドン的な態勢だ。 なにが嬉しくて同い年の、それも男に壁ドンされねばならんのだ…。逆だろ。 いや、逆もおかしいけど。 「おい…やめろよ…律。落ち着け。最近彼氏と別れたからってご乱心はやめろ」 そう、律は彼氏と別れてフリーになった時が本当の意味で俺の迷惑度数を振り切る動きをするんだ。 「お前ならすぐ次ができる…落ち着け…鈴元もお前がちょっと誘えばコロリと…」 「俺は、智ちゃんがいいっていってんじゃん」 「だから俺は良くないって言っ…ギャァァァア!!?」 マジでキスされそうになって俺は慌てて顔を背けたが、それがまずかった。 避けたことに気付いて、律はそのまま目の前にある俺の頬っぺたにチューしやがったのだ!!! 日常生活で感じることなんてない柔らかな感触にゾワワと鳥肌が立って、転がるように律の腕の間から飛び出した。 「やめろって言っただろ!!?」 もはや半泣きでゴシゴシと頬っぺたを拭く俺を見て、そんな嫌がるの智ちゃんだけなんですけどーと不満げにぶーぶー言ってくる律を心の中で3回くらい殴った。 こんな感じで俺に多大なる被害が及ぶのだ。迷惑極まりないだろ。マジで。なに考えてんだこいつて感じ。 なので以前「なんでこんなことすんだ!」と問い詰めたら、律は何のためらいもなく、 「彼氏居なくて寂しいからさー、智ちゃん俺に落ちてくんないかなーて」 とそれはもう不純で不愉快な動機をサラリと言ってのけやがったのである。 好きだから、と言われたならまだしもなんだその理由。もちろん好きだと言われても正直困るがなんだその理由。 果たしてクズなことを言ってる自覚はあるんだろうか。 そもそもお前は可愛い子が好きだろ!平々凡々な俺は範疇外だろ!例外なんて作ってくれなくていいんだよ!!! 「あーあー、いつになったら智ちゃん俺に落ちてくれるの?」 「そんな可愛く首かしげたって、可愛けれりゃ誰でもいいなんて奴には絶対落ちません」 「誰も智ちゃんのこと可愛いなんて言ってないけど」 「もうお前とは一生口聞かない」 「やだー!智ちゃんのバカ!そんなんじゃ一生童貞処女のまんまだよ!」 「童貞は嫌だけど一生処女でいいわボケ!」 拝啓、お母さま。 これがあなたのお気に入りの律くんと、息子の最近のお戯れですよ。 律はウザイけどなんだかんだで今日も平和に仲良くやってます。 でもとりあえず早く律に彼氏を見つけないと俺が食われそうです。助けて。

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