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「智ちゃん冷たいな~、もっと俺に優しくして」 元気はないというのに、律は暇なのか机に片腕を伸ばしてその上に頭を置いた気怠げな状態で俺に話しかけてくる。なんだ、そのやる気のない格好は。 「はあ?…じゃあ優しくしてくれる可愛い子でも紹介してやるよ」 「俺以外に友達いないのに?」 「もうやだ、なにこいつ。泣きたい」 「泣いて泣いてー」 きゃっきゃと喜ぶ律をギッと睨むと同時ぐらいにチャイムが鳴った。笑っていた律だったが、チャイムを合図にのそのそと面倒くさそうに体を起こす。そのまま、ふわあ…と欠伸をする。 相変わらず自由で呑気な奴め。 しばらくするとガラッと扉が開いて見慣れた先生が顔を出した。 この先生、名を橋本という。黒縁メガネのよく似合う橋本先生は、みんなからハッシー先生と愛称で呼ばれてるもののそこまで生徒たちから愛されてはいない。 先日40歳になったばかりのこの先生はとにかく適当だ。 一年の時も担任だったが、とにかく生徒に興味がないというか、生きててくれりゃそれでいいぐらいのノリで接してくる。 俺としてはそれぐらいの方が楽でいいから、嫌いじゃないが、少しは興味ないの隠せよ、とは思う。 そんななんで教師になったんだぐらいの無気力ハッシー先生だが、なんだか今日はすこぶる機嫌がいい。 スキップしそうなくらい軽い足取りで教壇に立つと、にっこり笑顔で俺たちを見渡した。 ハッシー先生のあんな生気に満ちた笑顔初めて見たぞ。今日は雪でも降るのかしら。ついに結婚相手でも見つかったのか。 なんて律のこと言えないぐらい呑気なことを考えてたいた俺だったが、その予想は俺の遥か上を行った。 「よーし、お前ら。今日も生きてるな。うん、よかったよかった。今日はお前らが生きてて良かったと思うくらいビッグなお知らせがある」 ゴクリ… 「転入生を紹介します!!」

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