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………
マジかあああああああああ!?!?
一瞬の沈黙ののち教室がドッと興奮状態に包まれた。
先ほども言ったが閉鎖的なこの学校。外からの刺激は通常の10倍ぐらいの威力があると言っても過言ではない。
例え入ってくるのが、ツンデレ美少女のアー!あんた今朝の…!とか言って指差してくるような女の子なんかじゃなく、むさ苦しい男だったとしても、だ!
しかも、転入生が入るとなると、どこからともなく事前に噂が風に流れて耳に入ってくるものだが、今回はそれが一切無かった。
もちろんクラスメイトも同じだったようで、驚きを隠せないみたいだ。
ハッシー先生の一言に教室内が異様な熱気に包まれる。
「転入生ってマジかよ」
「なにあのハッシー先生の笑顔」
「もしかしてやばいくらいイケメンが入ってくるとか」
「イケメンでハッシーが喜ぶわけないだろ」
「え、じゃあもしかしてめっちゃ可愛い系とか!?」
「やべー!それやべー!絶対それだ!」
「たまんねー!!」
教室中がザワザワと思い思いの予想を口にしている。ちなみに俺もハッシー先生の笑顔からして、可愛いメンズが入ってくるに一票だ。
チラリと横を見ると、案の定律もキラキラと期待した目で転入生が待機しているであろう扉を見ていた。
想像通りすぎる反応に思わず笑みがこみ上げる。
「あー、はいはい。お前らちょっとうるさい。…おーい、織田ー。紹介するから入っておいで」
ハッシー先生がそう扉に向かって声をかけたので、俺たちはサッとお喋りを止めると一斉に扉の方を見つめる。まさに一点集中だ。
全員の視線が集中するなか、扉の端に我が校のスラックスに身を包んだスラリとした足が見えた。
ただでさえハッシー先生がハードルを上げるもんだから、正直俺も相当可愛いメンズが入ってくると想像していたが、それは良い意味で裏切られることになった。
転入生は物怖じすることなく教壇まで歩いてくると、顎を上げ俺たちの方に体を向ける。
その瞬間だ。
多分俺だけじゃない。
この場にいる全員が、スッ…と息を飲んだ。
ゴクリとどこからともなく嚥下する音が聞こえる。それほどにこの空間は時が止まったように無音で、緊張に張り詰めていた。
「………キ、レー………」
思わず溢れてしまった呟き。
一瞬誰が発したのか分からなかったが、すぐに自分の声だと気付き俺は慌てて口を抑えた。
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