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「律?」 俺の呟きに振り向きもせず律が織田の元へ向かっていく。 そしてなんの躊躇いも無く、自慢の良い顔をフルで活かした爽やかな笑みを織田に向けて――優しく笑い掛けた。 「初めまして、織田玲哉くん。今日からよろしくね?」 織田に向ける律の笑顔にハッとする。 あいつがあんな超絶イケメンな笑顔を向けるのは大抵気になる相手に対してだけだ。 小学も中学も高校もずっとそうだった。 ずっと一緒に居たからこそ分かる律の癖。 無意識なのか意識してるのかは知らないが、ああやって笑うと律の男前度は急上昇で大抵の奴らはドキッとして意識しちゃう。 なんて得な笑顔だ。俺にも少し分けてもらいたい。一度、家で鏡の前で練習してみたがぎこちなさ過ぎて気持ち悪いだけだった。 つまり、どうやら律は織田をロックオンしたらしい。 「…アンタは?」 織田が顔を上げる。いつの間にか、眉間の皺は無くなっていた。 「俺は浅倉律。律って呼んで~」 返事が返ってきたことに対して嬉しそうに答える律だが、なんだあの顔。分かり易すぎかよ。 つーか、またレベル高いのに惚れたな。 ……だけど俺は心から応援するよ。例え相手が男だったたとしても。 いや、もう言うまい! 慣れろ、俺! 「浅倉、俺になんの用?…さっきの俺の言葉聞いてた?仲良くなりたいなら止めた方がいいよ。俺、あんたたちに興味ないから」 おい!あんたたちって!一括りにすんな!明らかに周りの奴ら落ち込んだじゃねえか! しかし当の律は気にした様子も無く笑顔のまま首を傾げた。 「そう?でも俺がキミに興味あるんだ」 「………」 うん。親友の口説き文句なんてあんま聞きたくない。 聞いてるこっちが恥ずかしくなるセリフに思わず俺が赤くなった。ついでに言うとすぐ傍に居る石田くんも赤くなっていた。 って、石田!お前は関係ないだろ!俺だって1mmも関係ないけどね!? なんだかいたたまれなくなって、俺は2人の元に向かう。 この流れに乗って話しかけようとしてる俺もなかなかの強者かもしれない。

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