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03
「アンタさ、俺のこと覚えてないの?」
突然の質問だった。
「へェ??」
あまりにも突拍子のない問い掛けに思わず間抜けな声が出た。
俺のこと覚えてないの?いや、覚えてるけど。
「…転入生の織田 玲哉くんだろ?」
いくらなんでも数分前まで一緒にいた奴のことを忘れるわけがない。俺のこと鶏かなんかかと勘違いしてんのか?
しかし、織田が言いたいのはそう言うことじゃなかったらしく首を振る。
「違う。そういう意味じゃない。…昔のこと、覚えてないの」
「む、かし…って…俺ら、今日が初対面だと思うんだけど…」
俺としては初対面だろって言い切りたいところだが織田の言い方からして――初対面じゃない?
でも俺の記憶に織田玲哉という名前はない。友達が居な…多いわけではないから、もし織田の言う昔に会っていたなら覚えている筈だ。
「覚えて、ないの」
織田が先ほどと同じ台詞を、
ただ少しトーンを落として呟いた。
「ああ、悪いけど…」
そう言いかけた瞬間だった。
目の前にいた織田の両腕が伸びてきて、強い力で胸倉を掴まれた。
そのまま背後のロッカーに押し付けられ、衝撃でロッカーから大きな金属音が鳴り響く。
「ッ…!!!」
背中に痛みが走り、一瞬息が詰まる。
手に持っていたシューズが床に落ちていった。
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