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06
いつの間にか緊張していた糸がぷつんと切れて、足の力が抜けしまった。
冷たい床に腰を落とすと、両手で頭を抱えてゆっくり息を吐く。
「…あー、俺なにしてんだ…」
律、絶対勘違いしてるよな。
あいつバカだから…でもお前は俺の親友だろ?小学校からの付き合いだろ?
変な感違いすんなよ。
普段ならこれくらいのこと簡単に言えるのに。
いつも俺の味方しかして来なかった律が、初めて俺以外の人間側の方に立つ発言をした。
他の人が言われても些細なこと過ぎて反応さえしないようなことだ。俺だから引っかかってしまった本当に小さなこと。
もちろん、あの流れなら冗談に決まってる。
決まってる……とは思うんだけど。
「俺、女々しいな…」
一番に織田に駆け寄ったことも、俺が何かしたんじゃないかなんて言ったことも、思った以上にショックだった。
加えて、衝撃を受けたのは織田だ。転入生の織田玲哉。
突然のことで何が何だかさっぱり分からない。
『人をこれだけ苦しめて、自分は忘れてのうのうと生きてるなんて…』
ふと、脳内で先程の衝撃が再生される。
そうだ。織田はそう言いながら睨んで来て、それからなんて言ったんだっけ。
『絶対許さない』
――許さない、か。
17年間生きてきて初めてそんなことを言われた。
自慢じゃないが他人にそこまで直接的な憎しみをぶつけられるような人間じゃない。もちろん善良だからというわけではなく、可もなく不可もなく、超イケメンな親友がいるということ以外なにも目立つことが無いのが俺だ。
むしろそれがアイデンティティ。
自分で言うのもなんだが、誰かに苦しみを与えられるような影響力を持っているとは到底思えない。
だから織田のぶつけてきた怒りの中に、隠そうともしない憎しみが理解できなかった。
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