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聞き慣れた学校のチャイムが聞こえ、時計を見るとちょうど部活動が始まる時間帯になっていた。 そして俺が今いるのは教室で、本来なら既に寮に戻っている時間。帰宅部の俺が未だ教室に残って何をしていたかというと、だ。 「…なんで誰も起こしてくんねーの?」 律とも織田とも顔を合わせるのが気まずくて、帰りのホームルームあたりから寝ていたら、誰にも起こされずこの時間まで残っていたというオチである。 ハッシー先生は俺のような平凡な生徒には興味がなく、堂々と寝てても怒ってこない。怒るって結構労力使うし。 けれど今回はそれがかえって裏目に出てしまったようだ。これは俺への労りか、はたまたイジメか。ただ単に気付かれなかっただけか。 …最後のは地味に辛いし一番ありえるパターンだな。 伏せっていた机から上体を起こし、そろりと周りを見渡すと既に教室には誰も居なかった。もちろん律も織田も居ない。 律はバスケ部に所属しているから、多分今頃体育館で仲間たちと練習中だ。 「はー、…さて、どうするか」 俺は帰宅部なので、このまま学校横にある巨大な寮に帰ればいいだけなんだが。 『智ちゃん、ちゃんと話して』 俺はやっぱり律と話がしたかった。 「誤解されたまんまじゃ癪だし…」 一人呟いてカバンを手に取る。ここで待っていても教室には帰って来ないだろうから、体育館近くのベンチにでも座って待ってるかな。 結構時間あるし何をして時間を潰そうかと考えながら扉に手を掛けようとした時だった。 ガラリと自動ドアのように扉が真横に開く。当然ながら俺はまだ触ってさえいない。 ビックリして目線を上げると、ひらけた視界の先に見慣れた顔――律の姿があった。 「律……」 なんてタイムリーなんだろ。 心の準備ぐらいさせてくれ。

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