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09

溢れる感情にこのまま律に抱き付いてわんわんと泣いてしまいたくなる。 だけど俺も律ももう小さな子供じゃない。そんなことはさすがにプライドが許さない。 照れ隠し的な意味も含めて、頭を撫でていた律の手を振り払った。 「うっせ!お前が紛らわしいこと言うからだバカ!」 「バカって…可愛くなーい。そんな紛らわしいこと言った?あんなの冗談だって分かってくれると思ってたのに」 「お前のは分かりずらいんだ!つか、どうせ俺は可愛くねーよ!」 「なに怒ってんの。ウケる」 プーッと馬鹿にしたように笑う律を見てショックを受けていた自分がアホらしくなった。 「ところでお腹はもう大丈夫なのー?」 「腹?なんで、腹?」 「えー?お腹痛いから結局体育サボったんでしょ?」 「…あ!ああ!そうそう!もう治った!」 「…自分で言ったこと自分で忘れてちゃ世話ないねえ。嘘付き。智ちゃん不良~」 「ふ、不良じゃねーし!…ヤスシーなんか言ってた?」 「んーん。俺が迫真の演技で腹痛の智ちゃんを伝えたら逆に心配してたよ。俺偉いでしょ?」 「マジか!偉い!さすが俺の親友だ!大好き!」 「ふふん」 得意げに笑う律に俺は背中を叩いて褒め称えてやる。しかし「痛い」と言って逃げられてしまった。 どうやら律はもう今日のことを聞いてくる気はないみたいだ。誤解は解けたし俺もその方がありがたい。 聞かれたとしても織田から意味不明な発言をされて胸ぐらを掴まれたことなんて正直言いづらい。 だって、織田のあの表情と声音。 あれからしばらく考えたが織田の言う言葉にはピンとこなかった。だからと言って嘘をついてるとは思えない。初対面の相手に付く嘘にしては笑えなさ過ぎる。 どういう意図であんなことを言ったのか、もう少し知りたいと思った。 「よし。じゃあ、話も済んだし俺そろそろ帰るわ」 そう伝えて律の横をすり抜け廊下に出ようとしたら、腕を掴まれて再び教室の中に連れ戻されてしまった。 「お?どうした、律」 今度は律も教室の中まで入ってきて後手に扉を閉める。ピシャンと閉じられた扉に、教室内で2人っきりになると、律は「あのさ」と口を開いた。

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