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気付けなかった違和感

うちの学校の寮は強制的に入寮させられる全寮制だけあって、とても巨大だ。生活の全てがここに詰まっている。 1階には寮の食堂と、21時まで営業している小さなスーパーみたいな売店。食品から衣料品、市販薬まで常備されている抜群の品揃えだ。さらにずらりと並ぶ飲み物・インスタントの自販機コーナーがあり、2階以上からが生徒達の寮となっている。 2階が3年、3階が2年、そして4階が1年生の部屋、と学年が上がるごとにどんどん登る階数が少なく便利になっていくシステムだ。 現在2年生である俺の部屋は3階にある。エレベーターも使えるのだが、上級生がいるときは使ってはいけない暗黙のルールがあって、いくら乗れる空間があったとしても先に譲らなければならない。 上下関係のやりとりが心底面倒くさい俺は、基本階段を使う。3年になったらエレベーターも使うつもりだが、まだ上級生がいるうちは穏便に反感を買わぬよう慎ましく生活を送ろうと心に決めているわけだ。 そんなわけで俺は軽快な足取りで階段を登り、自分の部屋である三階の306号室の前に辿り着いていた。 そこでふと感じた僅かな違和感。 「?」 扉の前で鍵を開けながら首を捻る。キョロキョロと辺りを見回したが、特に異変は感じられない。なにこの気持ち悪い感じは。 原因を突き止めたいのに発見できない。 「…ま、いっか」 しかし考えたところで全く分からないので、考えることを早急に辞めて部屋に入る。 靴を脱ぎ、既に置かれている靴の横に並べた後に、あれ…と思った。 「……これ、誰の靴だ……?」 この寮は同学年の2人~3人の相部屋だ。学年が変わるごとに部屋割りも変わるのだが、2年に上がって俺の部屋は2人部屋になった。 最初は俺の他にもちゃんともう1人いた。ちょっと暗めの大人しい奴だ。1年の時には一度も喋ったことの無かったそいつが2年になって相部屋になり、割とすぐに居なくなってしまった。 転校したのか辞めたのか、それは分からない。仲良くなる前に居なくなってしまったので、詳しいことは聞けなかった。 とにかくそんなわけで、俺は今まで約1ヶ月ほど超快適な一人暮らし状態だった。 ただ頻繁に律が遊びにきていたので、特に寂しいとかも無く普通に過ごしていたし、むしろウザいくらいだったのだが、その部屋になぜ俺以外の靴が既に置いてあるんだ? そもそもこの部屋の鍵は今俺しか持っていないのに… ――つまり、中に誰かいる…?
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