ピシャン！ 「！？」 突然、部屋の奥からベランダに続くガラス扉を力強く閉める音が響いた。 ややややっぱり、誰かいる…！！ 爆発的に早くなる鼓動に、思わず持っていたカバンを胸に抱きしめた。 動くことも出来ず玄関で棒立ちになっていると、こちらに向かって人影が姿を現した。 「っ！！……、………は？」 ギュッとカバンを抱きしめていざとなれば出て行こうと身構えたが、現れた人物は意外すぎて…というか、まあちょっと見覚えのありすぎる人物だったというか… 「お、織田かよ……」 話題の織田玲哉、その人だった。 「織田かよって、アンタ相変わらず失礼だな」 織田は特にこちらを見て驚きもせず、むしろ不快感を露わにした。そのまま冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出しその場でゴクゴクと飲む。 「なんでお前がここに居るんだよ…」 「なんでって…アンタ表のネームプレート見てねえの？」 鬱陶しそうにバンッと乱暴に冷蔵庫の扉を閉める。ちょっと！もっと丁重に扱えよ！壊れたらどうするんだ！ 「表…？」 しかしそんなことを口に出す余裕もなく、俺は背後の扉を開けて一旦廊下に出る。 扉の横の壁にスライド式で入れるネームプレートが配置されているのだが、俺の末永智という名前の上に織田玲哉という名前のプレートが新たに入れられていた。 なんでお前が俺の上にあるんだ。俺が一番上に入れてたのに、あいつわざわざ俺のと入れ替えたな… なんてどうでもいいことを考えたくなるほどに、目の前の事実は衝撃的だった。 マジで……？ まさかの織田と同室…………？