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Tシャツに下のみジャージのズボンを履いたかなりラフな姿になっている。一度部屋に帰って着替えたみたいだ。 見慣れた姿に、俺は少しほっと息を吐いた。 「….なんか智ちゃん顔酷くない?疲れてんの?」 「あー…さっきまで予習してたからな。つーか顔酷いって言うな」 織田との気まずさに気疲れしてた、とはさすがに言えない。広い部屋ではないので確実に聞こえるし、そしたらまた何を言われるか分かったもんじゃない。 もはや軽く恐怖の対象である。 「あんま無理しちゃだめだよ?」 ぽんぽんと頭を叩かれて、そのまま律は部屋に入ってきた。 勝手に入ってくるのはいつものことだ。リビングに顔をのぞかせた律は「ワッ、ほんとに玲哉がいる」と驚く。 「…ん?浅倉か」 俺も律に続いてリビングに戻ると織田がソファーに寝転んだまま気怠げに律を見上げている。 「まさか智ちゃんと同室になるとはねー。他にも一人部屋になっちゃってる奴何人かいるのに」 「浅倉は?」 「俺は残念ながら同室がいるよ」 「そう、それは残念だな」 織田は少し眉を下げてそう言った。どんだけ俺との同室が嫌なんだよ、こいつは。 つーかそんな顔もドラマのワンシーンみたいに綺麗なのが腹立つ! 「あ、そうだ、玲哉も飯食べに行くー?」 って、おおおおおおいいい!!? 言い出すだろうとは思っていた台詞に、俺は思わず心の中で盛大に叫んだ。 なんなら声に出そうなくらいヤメロ律ううううう!!ってなってる。 織田と違う空間に行きたくてお前を誘ったのに、どうして織田を誘うんだよ! そりゃ律は織田をロックオンしてるし?誘うだろうなとは予想してたけど!?珍しく俺から誘ったんだからそこはちょっと察して欲しかったなー!! 織田は相変わらず体を起こす気はないようで、ソファーにもたれかかったまま首を傾げた。 「飯?どこに?」 「寮の一階に食堂があるんだよ。21時までは開いてる」 ちなみに今は19:30をちょっと回った頃だ。 「ふぅん…アンタも行くの?」 不意に織田が視線をこちらに向けた。 突然話を振られてビクッと肩が跳ねる。そんな俺に怪訝な目を向ける織田。その目はまるでなんだこいつキモ、とでも言わんばかりの蔑んだ目だ。 「…一応そのつもりだけど」 「じゃあ行かない」

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