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06
「……あっそ!じゃあ2人で行こうぜ!律!」
あからさま過ぎるだろ!嫌な奴!てかもともと2人で行く予定だったし、お前は部屋で一生携帯でも弄ってろよ!
なんて本人に言えないのが悔しいが、ちょっと頭にきた俺は律の腕を掴んで強引に出て行くことにした。
が、
「?…律?」
「行かないって…こ飯どうするの?1人で行くの?」
律が立ち止まったまま織田に問いかけるので、勢いを無くした俺の腕はスルッと律の腕から離れた。
「そもそも夜は別に食わなくても平気だし」
何をダイエット中の女子みたいなこと言ってんだ、こいつは。ほんとに成長期の男かよ。
「それ、大丈夫?倒れたりしない?」
「過保護だな。大丈夫だよ。なに?心配してくれてんの?」
「うん、しんぱい」
「………」
ドストレート。
これにはさすがの織田も目を丸くして、言葉が出てこないようだった。
そして俺はまたもや目の前で繰り広げられようとしている甘い雰囲気に後ずさる。
おっと……これ、あれじゃね?
俺が邪魔者的なあれじゃね?
「……あ!あ!そうだ!俺、そういえば食べ切らないといけない食材があったんだった!」
突然声を上げた俺に、律と織田が同時にこちらを振り返った。
「智ちゃん?」
「律!腐らせたら勿体無いし、俺やっぱ今日は部屋で食うわ!悪いけど織田と食堂行ってきてくんない?」
空気の読める男、それが俺である。
めちゃくちゃ説明口調なのはこの際見逃してくれ。
「えー、なんでー?」
「なんでって、…」
まさかの食い下がる律に言葉が続かなかった。
なんでもクソも全部お前のためだよ!
視界の端で織田がジッとこちらを見ているのに気付いて、目線を合わせる。
ほら、俺は行かないんだから行けばいいだろ。
そんな心の声が届いたかどうかは知らないが織田は――ふ、と意地悪そうに笑った。
!?
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