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「…ったく。おい、織田!そんなとこで寝てたら風邪引くぞ!」 あまり近寄りたくは無かったが、仕方なくしゃがみこんで織田の体を揺さぶる。 うーん…と唸りながら形のいい眉が不愉快そうに潜められ、ゆっくりと織田の瞼が開く。 「…あ゛?」 「あ゛?じゃねーよ。朝だよ。起きろよ」 織田が起きたのを確認すると、キッチンに戻り牛乳とヨーグルトを手に持ち自分の机に向かった。 少し冷めてしまったが、やっと朝ご飯だ。織田も目をこすりながらのそのそと起き上がってくる。 「取り敢えずなんか着たら?朝メシ出来てるから食えるなら食えよ。冷蔵庫のヨーグルトも勝手にどうぞ」 「は?」 こいつさっきから「あ?」と「は?」しか言ってないな。 「……なんでアンタが朝メシなんか作るんだよ」 「時間があったからに決まってるだろ。…別にいらないなら食わなくていいけど」 「………」 ムスッとしながら織田は俺の言葉通り、ハンガーにかけてあった黒のパーカーを羽織るとソファーに腰掛ける。 美少年がヒョウ柄パンツに黒パーカー。 なんだかこいつには、昨日からことごとく期待を裏切られている気がする。 織田は無言のまま俺の用意した朝ご飯を見つめたかと思うと「イタダキマス」と小さな声で呟いた。…意外と礼儀正しい。プラスポイント発見だ。 綺麗な動作でパンを口に運ぶ織田を見て、俺も食パンを口に頬張った。 「……ッテ…」 しかし口の中を切っていることを忘れていて、痛みに顔が歪む。異変に気付いたのか織田の顔がこちらを向いた。 「…アンタそれどうしたんだ?」 「……お前にやられたんだよ。織田は寝惚けてて覚えてないんだろうけどな!」 俺の異変に全く覚えてないのか不思議そうな顔をしながら尋ねてきた織田に、隠す必要もないと思いありのままを話した。 「……………俺が?」 「お前が。結構ガチでやられたんだけど」 「…………相当アンタの顔がウザかったのかな。悪い」 「………」 謝ってくれたのはいいけど一言多いし、顔がウザくて殴られるとか俺これから毎朝殴られるってこと? 「勘弁しろよ…」 「なに?」 「なんでもないです」 とりあえず俺はもう二度とこいつに朝ご飯なんて作ってやらないと強く心に誓った。

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