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「なんだあ、末永。そんな冷たいこと言わずに案内してやってくれよ。先生が案内してやりたかったんだが、職員会議が入ってな…お前確か部活入ってないだろ?今の時間だし部活のこととかも教えてやってくれないか?」
教室から顔を出したハッシー先生の後ろで織田がニヤリと笑った。
まさかの先生に頼まれていたパターンのやつか…てゆかハッシーめ!学校案内なんて織田じゃなかったら絶対してないだろ!マジで贔屓やめて欲しい。
「…分かりましたあ」
ここで断ると完全に俺が悪者になると思い、仕方なく頷いて織田の元へ歩いて行く。どんな顔をしているのかと思えば、頷いた事を後悔した。
クッソ〜!なんだよ、その勝ち誇った顔は。俺とは一緒に居たくないのスタンス貫けよ!ブレンなよ!
ーーー
「ここが、保健室だよ。基本的に先生が常駐してるから」
「ふーん。保健の先生も男?」
「当たり前だろ。こんな男の巣窟に女の先生なんて居たら大変なことになるわ」
「つまんねえな」
「…織田は女が好きな人?」
「顔が良ければどちらでも」
「………」
こいつ多分律と話が合うやつだ。
バイ?って言ってたか、確か。でもここまで美人な男と釣り合う女なんて居ないだろうな。俺が女だったら自分より綺麗な男となんて並びたくない。
同性の俺でさえ嫌なのに!
「てゆか、お前さっきからなんか近くね!?」
「は?自意識過剰も大概にしろよ」
「すんません」
織田の横に並んで歩いたのが初めてだから、こいつの距離感がよく分からない。律と並んでたときもこんな近かっただろうか。意識しないと手がぶつかる距離だ。
「で、次は?もう終わり?」
「あとは体育館でバスケ部とバレー部と…あとなんだっけな。バドか!そんな感じだけど、体育館は昨日行ったし分かるよな」
「部活の様子、見たい」
「マジ?なんかお前アクティブだな」
ジロリと睨まれて、俺は慌てて体育館に歩き出した。
途中律の好きそうな可愛い系の男子グループにすれ違った。もしかしたら律の元カレが居たかもしれない。だけど問題はそこじゃない。
すれ違ったあとに聞こえてくるヒソヒソ話だ。
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