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嫉妬の先にあるものは
「んー!うま~い!やっぱり智ちゃんのオムライスが一番美味しいよねー」
「一番ってどこと比べてんだ」
「元カレが一回作ってくれたことがあったのよ。作ってくれるって言うから美味いのかと思ったら、これがまた全然で…まあ気持ちが嬉しいんだけどね~」
俺の予想通り19時を少し過ぎて晩御飯ができ上がった頃に律は部屋にやってきた。
そのタイミングで織田も目を覚まして、ソファーに織田と律、自分の机に俺、という位置でオムライスを食べているのが現在だ。
ちょっと嘘臭いフォローを入れながら律が美味しそうにオムライスを口に入れて行く。
一方織田は美味しいも不味いもコメントは無く無言で食べ進めている。まあ食べているので不味いということはないだろう。
こいつを旦那にする女の子は可哀想だな。何作っても感想無しだと、作る方もやる気を失う。
「そういえばー、玲哉のこと部長に話したら、いつでも入ってくれって言ってたよ」
「へえ。…じゃあ明日橋本に入部用紙貰ってくるか」
「マジ?智ちゃん聞いた~!?玲哉バスケ部入ってくれるって!やばいね、玲哉と部活一緒なんて最高じゃん」
「最高って…過大評価し過ぎだろ」
こちらまで笑顔になるような爽やかな笑顔で笑う律に、素直じゃないことを言いながらもつられるように織田が優しい笑みを見せた。
その瞬間固まる律――--と、俺。
待って。ちょっと待って。
なんじゃその笑顔!?
そんな顔で笑えるんなら俺にもそういう顔しろよ!そうすれば口喧嘩もせずに済んだのに!と言いたくなるほどの凄まじい破壊力の笑顔だ。体育館で見た笑顔とは段違いにやわらかくあたたかい感じ。
まさに天使そのもの。
男に興味の無い俺でさえ、あんな笑顔を向けられたら好きになってしまいそうだった。
案の定、天使のごとく美しい笑顔を向けられた律は、ポカーンと口を開けて呆然としている。
ああ~イケメンが残念なアホ面に…
「おい、律!顔!顔!」
呼び掛けると律はハッと我に返ってブンブンと首を振った。
「あっぶなー…!昇天するとこだった」
本当にな。意識どっか行ってたぞ。
律があまりにも分かりやす過ぎて可笑しくて、顔が緩んでしまう。
「お前ホント織田のこと好きなのな」
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