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「え!?マジ!?どしたの、そんな優しい台詞吐くなんて…た、体調悪いとか?そういや今日部活初めてだもんな…あっ、だから帰ってきてすぐぶっ倒れてたのか!疲れ過ぎってやつ?大丈夫?」 織田から初めてじゃないかと思うくらい優しい言葉をかけて貰えて、俺は衝撃のあまり言わなくてもいいことまでべらべらと喋ってしまった。 後になって冷静に考えるとそう大して優しい台詞でもないし、俺が作ったんだから後片付けを織田がするのは至って普通のことだと思うんだけど、今までが酷すぎてその時は感動してしまったのだ。 俺の余計な一言…二言三言に案の定イラッとして眉根を寄せた織田は目を細める。 「…アンタってほんと俺を苛立たせる天才だよな」 そんな褒められても。 しかし本当に疲れているのか織田はそれ以上突っかかって来ることはなく、風呂場に引っ込んでしまった。 怒られなくてラッキーだったけど、織田らしくない。そんなに部活ハードだったの?律曰くうちのバスケ部強豪らしいし、楽な練習じゃない事くらいしか想像できない。 俺は残りのご飯を食べ終え織田の言う通りお皿を流しに置いた。 実は洗うことにもそれほど抵抗が無いんだけど、わざわざ洗ってくれると言ってきたんだ。あの織田が! すごい進歩じゃないか。 ここは素直に甘える以外に選択肢はない。 ストレスフリーな同居生活に一歩近付いた気がしてこっそりニヤついていたのは、ここだけの秘密である。

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