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織田が出てくるまで予習の続きをしていると、机に置いたあった携帯が震えた。明るくなった画面に表示されたのは律の名前。電話だ。 「うい、どーした」 『智ちゃん、いまなにしてるの?』 「ちょうど晩御飯食べ終わったとこだよ」 電話の向こうから、ガヤガヤと男子生徒達の声が聞こえる。まだバスケ部の奴らと居るみたいだ。 「律ももう食べたんだろ?」 『食べたよー。ところで玲哉部屋にいる?』 「織田?あいつなら今風呂に入ってるよ」 『あー、そっか』 「??なに?」 『いやー、部のやつらが歓迎会開くってうるさくてさ…日にちいつにするかって。玲哉に電話しても出ないから』 電話越しに「こら律!うるさいってなんだ!あんな美人お前だけが独占できると思うなよー!」「そうだぞ!イケメンだけが得をする世の中なんてクソ喰らえだ!」と騒ぐ声が聞こえる。 「後ろ元気だな…。あいつ、ちょっと前に入ったからそろそろ出て来るとは思うんだけど……あ、出てきたわ。ちょっと待って。おい、織田!」 「…なんだよ」 シャワーだけで済ませたのか思ったより早めに、またもやパンツ一丁で出てきた織田を呼ぶ。そんな雑に拭いてキューティクルは失われないのか、と心配になるほどガシガシと濡れた頭を拭いている。 ちなみに今日のパンツは黒地にゴールドの英文字が入ったボクサーパンツだ。なんでそんな肉食系みたいなパンツの趣味なんだろう。なんか勿体無い。 「バスケ部の人達が織田の歓迎会したいんだって。いつにするかーて電話」 「そんなんしなくていい。言っただろ。この学校にいつまでいるかなんて分かんねえって」 そういえば自己紹介の時に親が転勤族だと言ってたな。でもそれはそれ。これはこれだ。 「そういうわけにもいかないだろ。いくらなんでも転勤したばっかですぐ転勤はないと思うし、もしかしたら卒業まで居るかも知れねーじゃん。…そもそも折角入ったんだ。歓迎したいって言ってんだからやってもらえよ」 「面倒臭い…」 「…あのさ、チームスポーツって、チームで協力してやってくもんだろ?仲良くなってないと色々やりづらいと思うんだけど」 織田の動きがピタリと止まる。 我ながら素晴らしい正論だ。言い返す言葉もないだろ。 「…チッ。いつでもいいって言っといて」 ご丁寧に舌打ち付きで渋々応じた織田は、聞こえよがしに大きな溜息をつきながら再び脱衣所へと消えてしまった。

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