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「律!織田いつでもいいって」 「…ん。聞こえてたよ。玲哉いつでもいいって~」 律の声が電話越しに少し遠くなり、近くにいるであろうバスケ部員に織田の返事を伝える。その後ウオオオオオオとバスケ部員たちの歓喜の雄叫びが聞こえ、思わず携帯を耳から離した。うるせえ。 織田はどこに行っても人気なんだな。羨ましい。でもこれじゃあ律も気が気じゃなさそうだ。 「…お前も大変な奴に惚れたな…」 『ねー。あ、そうだ智ちゃん。今度いつ買い出し行くの?』 「買い出しは今週の日曜!」 『日曜ね。りょーかーい。また行く時教えて~』 「おう。じゃあ、また明日な」 電話を切ると髪を乾かし終えたのかいつの間にか顔を出した織田がこちらを見ていた。ガッツリ目が合って一瞬ビックリする。 「な、なんだよ」 「買い出し、行くの」 「あー、うん、そうそう。日曜にな」 聞いてたのか。まあこの狭さだし、聞きたくなくても聞こえるか。 「俺も行った方がいいんだろ」 「俺の飯が食いたければ、そうなるな」 「……いちいち腹立つ言い方」 「いや!だって!お前全然美味いも不味いも言わねーんだもん!不味いもんに食材費出すなんて俺なら嫌だなって思ったから…」 言いながら思った以上に自分がこいつの反応を気にしていたことに気付いた。 律が何を作っても美味しい美味しいと大絶賛してくれるタイプなので、逆に織田のように何も言ってこないタイプだと色々と気になってしまう。 俺の言葉に織田は一瞬動きを止めて――吹き出した。 「アンタ…なに!そんなこと気にするタマかよ…ハッ、ウケる」 「そっ、わ、〜〜〜笑うなよ!お前からどんな風に見られてんのか知んねーけど、俺だって気にすんの!そういうことは!」 カァァと顔が熱くなる。つーか笑い過ぎだし! 馬鹿にしてるのは間違いないが、作り笑いでもなく本心から笑っているような織田に新鮮味を感じつつ、上半身を折ってまで爆笑されることか。と、恥ずかしさが急上昇で増していく。 クソ!言うんじゃなかった!! 「も、笑うなって!変なこと言って悪かったな!」 「は、……あー、笑った」 笑い過ぎて涙が出たのかソファーに座りながら目尻の涙を手で拭った。 「アンタあれだな。付き合ったら面倒臭いタイプだ」 「………」 「尽くしちゃう系だろ」 そうかも知れない。 中学の時に初めて付き合った彼女には中学生ながらかなり尽くした。毎日朝家まで迎えに行って帰りも家まで送って行った。もちろん家は逆方向なのに、だ。 具合が悪いと聞けば、クラスが違うにも関わらず休み時間の度に、体調どう?と様子を見に行ったり喉にいい飴だとかをしげしげと届けてたっけ。

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