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微かに響く、歪みの音
翌朝、突然頭上からけたたましい音量の電子音が聞こえ、俺は言葉通り飛び起きた。
「なんら!?」
寝起きで舌が回らない。
ひとまずベッドから降りる。鳴り続ける電子音は織田の方から聞こえていることに気付き、ベッドの上部を窺った。
最初はアラームだと思ったが、織田のかけていたアラームとは違う音だ。
しかし音量設定が同じなのか、非常にうるさい。
「おーい。携帯鳴ってるぞ」
あまりのうるささに目が冴えてしまった。下から織田に呼び掛けると、アラームの時と同じように素早く手が伸びて音が消える。ホッと一息ついたのも束の間、再び携帯が鳴り出した。
消したのに即座に鳴るって…電話じゃね?
「織田ー!アラームじゃねーぞ!電話だ、電話!…多分」
俺の予想が正しければ誰かが織田に電話をかけているものの、織田がアラームと勘違いして切ってるんだ。
鳴っては消すという作業を3回ほど繰り返したあと4回目が鳴って、さすがに俺はハシゴを登って上段のベッドに顔を出した。
掛け布団を抱き枕代わりに抱いた織田の滑らかな白い足が見える。これがほんとに同じ男の足なのか…とか一瞬考えてしまったがそれどころじゃない。この調子で電話を鳴らされたんじゃ俺が寝られない!
「もー!うるせーから早く出ろよ!」
バシバシと布団を叩きながら叫ぶと、織田はムクリと起きて虚ろな瞳で俺の顔を見る。そのまま自分の携帯を投げてよこしてきた。
「わ、」
一瞬また殴られるんじゃないかと思い背筋が冷えた。こいつの寝起きは油断ならない。何をさせるか分かったもんじゃない。
ボトッと目の前に落ちた携帯を見れば、やはり着信だったようで画面には律の文字が表示されている。
「あ、律じゃん!おい織田、律だって…………んん?」
そういえばさっきまでうるさいくらいに鳴っていたのに目の前の携帯は静かだ。
よく見ると通話中になっている。
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