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03
それに律が今まで誰かとヨリを戻したことなんて一度もない。別れたらそこで終わり。逆にヨリを戻したいなんて言われたら余計に冷めるって言ってた。
「……キミはそれでいいの?」
「?いいもなにも、律の勝手だろ」
「え……キミって律くんのこと好きなんじゃないの?だからいっつもくっついてるんでしょ?」
「はあ…!!?」
あり得ない台詞につい大きな声が出た。
周りで洗濯の終わりを待っていた生徒が何事かと振り返る。それに対してすんませんすんませんと謝りながら薫くんに向き直った。
「ちょ、ちょちょっと待って。誰が誰を好きだって?」
「だから、キミが!律くんのことを好きなんでしょ?キミがしつこくしてるから律くんも仕方なく一緒に居てあげてるんだよね。それならあの転入生のことだって憎いんじゃないの?」
「えぇ………」
見当違いも甚だしい。
てか、俺って周りからそんな風に見られてたの?
1年生の時にも律ファンだと思しき薫くんのようなチワワ男子ーズに「あんた邪魔なんだよ」とか「目障りだ」とかよく言われたけど、俺が律のこと好きで纏わり付いてるから邪魔だってことだったのか。
なんで友達として傍に居るだけで見ず知らずの人間にそこまで言われねばならんのだコンチクショーいつか痛い目見ろ!と思っていたが…
なるほど。それなら納得だ。
気持ちいいくらいの勘違いだけど。
「あのさ…悪いけど俺、女の子が好きなんだよね。律とは小さい頃からの幼馴染で一緒に居るだけで、律が織田と付き合おうが薫くんとヨリを戻そうが俺にはなんの関係もないから」
「……ふーん」
ちょっと感じ悪いかな、と思いながらこれ以上勘違いされては困ると思ったことを全て伝えた。
俺の言葉を最後まで聞いた薫くんは大きな目をパチクリとさせ、それからスッと仮面を外したみたいに冷たい表情に変わる。
「!」
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