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長い付き合いだが織田に対しての律の許容範囲がイマイチ分からない。
ただ「作ってやるよ?」と律と付き合う前に織田に自分から言った事だ。
出来ればこのまま作ってやりたいと思う自分がどこかにいた。
「世話焼き…かー」
もはや認めざるを得ないか。
俺にはおかん属性が備わっている、と。
「って、いや魚買いすぎだから!そんな買わねーよ!?冷蔵庫の大きさ考えろよ!せめて3種類にして!」
「律のとこは入らないのか」
「入るよー?玲哉ってば、魚好きなんだね。好きなだけ詰め込んでいいよ~」
「おい!甘やかすな律!お前だって同室の奴いるだろ。いきなり魚ばっか冷蔵庫に増えてたら軽くホラーだから!しかもそんなたくさん買ったところで鮮度もたねーし、晩飯が魚ばっかとか俺ぜってーやだわ」
「……チッ」
「舌打ち……!!!」
マジで俺なんでこんなやつにおかん属性発揮させてんだろ。なんか悔しい。
俺の存在など忘れているかのようにラブラブで買い物をしている2人の元へ豆腐を持って歩み寄ると、律の持つカゴにこれでもかというくらい魚が詰め込まれていた。
こいつは加減てものを知らないんだろうか。
舌打ちをする織田にイラッとしながら、俺はどんどんカゴの中の魚を戻して行く。
「律も見てたんなら途中で止めろよ」
「えー、だって玲哉のあんなウキウキした顔初めて見たんだもん」
「だもん、じゃねーし。…どんな顔してたの?お前」
「知らねえ」
律の横でムスッとしている織田が、こちらも見ずに答えた。
「…そんな怒んなって…。ほら、あとは買うから」
「智ちゃんだって、甘いじゃん」
「………」
いつもより数段多い魚の量に、小さい子供の相手をする母親の気分とはこういう感じなのかも知れないとひっそり思った。
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