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「口ほどにも無かったねー」
「…俺は役に立った、のか…?」
「んー、全く!」
「ですよね!!」
フォローもなく笑顔でそう言われ俺は項垂れた。
例の3年生達との後半試合は織田が居なくなってちょっかいを出す必要が無くなったのか、誰も怪我することなく無事に終わった。なんなら余裕で勝った。
織田が酷い目にあったせいか、表面上は変わりなかった律が今までのは手加減してましたばりに本領発揮を見せたのだ。
実は怒ってるのかも知れない。律は笑顔だけど内心キレてるなんてことたまにあるし。
先輩だということを気にすることなく容赦なくボールを奪いどんどんシュートを決めていった。俺がしたことと言えば、律から2~3回パスを貰って石田くんに渡したくらいだ。
てか石田くん実はバスケ部向いてんじゃねーの?何気に上手い。俺が平均以下で下手くそなことを抜きにしてもいい仕事をしていたと思う。とまあ石田くんの話はこのくらいにして…
「なあ…織田帰ってくるの遅くない?」
「うん、さっきから電話してるんだけど、全然出ないんだよねえ」
3年生達との試合を勝ったことで、次の試合が決勝戦となった。
俺と律は決勝戦の相手が決まるまで観覧席で時間を潰すことにしたんだが、バトンタッチと出て行った織田が全然帰って来ない。
一応薫くんを探したが、薫くんの姿も見えなかった。
「……律」
「んー?」
隣で律が携帯を見ながら清涼飲料水を口に含む。
「お前の元カレでさ、薫くんってやつ居ただろ?」
「薫クン?……さぁ、誰だっけ」
「お前が一番最初に男に目覚めた相手だよ!」
「言い方。…あ、思い出した!薫ちゃんね~、居たね~。そんな子。てかなんで智ちゃんが覚えてるの?俺の恋人覚える気ゼロだったくせに」
ペットボトルから口を離して律が不思議そうな顔をした。
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