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「はい、終わり」 「どうも」 織田はお礼なのかどうかも微妙な言葉を返して、すぐ上に体操服を着直す。俺も残りの湿布を拝借した棚に戻した。 先生ありがとう。この湿布は先生の愛する可愛い生徒に使ったから許してね。決してパチったわけじゃないからね。 「つーかお前さあ、今まで何してたんだよ」 「昼寝」 「いや!その前!保健室に来る前になんかしてたんじゃないの?だから俺にバトンタッチなんて傍迷惑なこと言ってきたんだろ」 織田の代わりに駆り出される羽目になったことを俺はまだ根に持っていた。昼寝するためだけに犠牲にされたんじゃたまったもんじゃない。そもそも球技大会中に昼寝ってなに?どこの不良? 「…もしかして薫くんと何かあった?」 「カオル?誰だそれ」 「さっき観覧席にいたお前が女みたいって言ったやつだよ」 「あー、あいつカオルって言うの」 織田は胡座をかいたまま後頭部を気怠げにかく。思い出したということは、やはり何かあったのか。 俺は再度ベッドに腰掛けて話を聞く体制に入ってみたが、織田が発した言葉はたった一言だった。 「ちょっと遊んだ」 「………」 …い、意味深過ぎる。 「…何やらかしたんだよ」 「さあ?」 ワザとらしいくらい見た目にピッタリな笑顔を作られて逆に鳥肌が立つ。 はい、俺手っ取り早く主犯格を吊るし上げたに一票! …じゃなくて、何やってんだこいつは。気に食わない奴に対して攻撃的過ぎるだろ、全く。ちなみに気に食わない奴って俺含めね。 「…いくらなんでも泣かせることは無かったんじゃねーの」 ここに来る途中に出会った薫くん。 織田の言葉を聞いてやはりあれは泣いた後だったんだと確信を持った。 何をしたのかは知らないが、あんな気の強そうな薫くんを泣かせるなんて相当な事をしたとしか思えない。 もちろん薫くんのしたことは最低だ。それは間違いない。だけど、俺だけに対してかも知れないけどこいつは容易く手が出るから…そこが心配なんだ。 思った事をそのまま口に出すと、織田は一瞬黙って、それから小さく「チッ」と舌打ちをするのが聞こえた。 舌打ちすんなよ…と言おうした声は突如伸びて来た腕によって、首のあたりを無遠慮に掴まれ出すことは叶わなかった。 「!?」

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