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「なんっ…織田!」 何とか引き離そうと胸倉を掴んでいたままの手で織田の体を押し返すがビクともしない。しかしながら俺の抵抗に気付いたのか、噛み付かれた場所をペロリと舐め上げた後やっと体が離れた。 「う、ひぇ」 舐められたことで染みるような痛みを感じ、変な声を出してしまう。この痛みの原因は多分犬歯の攻撃力で、どんだけ思いっきり噛んだのか窺い知れたし、とにかくめっちゃピリピリして痛え。 バッと顔の横にあったシーツを掴んで首を抑えると、ほんのちょっぴりではあったが赤い染みが出来た。 「血ーーー!!?えっ、意味分かんない!お前ほんと何なの!?しかも今、俺の血舐めたことになんだろ!なんかイヤ!今ずくペッしろ!」 「うるせえ叫ぶな!アンタ病気持ちかよ」 「いや、持ってないけど!いたって健康体ですけど!」 なんなら風邪なんてここ2年ぐらい引いてないですけど!? 俺の叫び声が耳障りなのかベッドの上で織田は俺から距離を取る。 「なら問題ないだろ…想像通り色気もクソもないな」 「はあ!?……それなら言わせてもらいますけどね!!漫画みたいに押し倒されてチューされちゃったっ、とかなら別だけど、押し倒されて思いっきし噛み付かれて色気のある展開なんて望めるわけねーだろ!俺はお前の犬用ガムじゃねーぞ!」 大切な愛犬の歯の健康とストレス発散に、じゃねぇわ! 「泣いて喜んでんじゃねーか」 「痛くて泣いてんの!お前、ほんっと、バッカじゃねーの!?」 シーツで首筋を押さえたままガバッと勢い良く起き上がる。先生ごめんね!シーツは可愛い生徒の止血に使わせてもらったよ! 織田はすぐ横で胡座をかいて、騒ぎ立てる俺から顔を逸らし、偉そうに踏ん反り返っていた。 いやいや、ハハ。 なんなんだその態度は。 …プチン

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