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理不尽な痛みと、織田の反省を1ミリも感じない態度に俺の堪忍袋の尾が切れる音がした。ほんとに聞こえるもんなんだな、小気味良い音が。 呑気にしている織田の目の前に膝立ちし、腕を自分の方へ力一杯引き寄せる。織田は驚くこともなくつまらなさそうに目を細めて、されるがままだ。それにさえムカついた。 「ごめんなさいは?」 「…なんに対して」 「心配してお前を探しに来た優しい俺に対して、噛み付くという恩を仇で返した行為に対してだ!」 「別に頼んでない」 「言うと思った!でも今日は許さん。俺は怒ってる!今日は謝るまでここを退けないし、謝らないならお前の好きな魚は二度と食卓に出さないからな!」 「……クズ」 「どっちがだよ!?」 魚という単語に、興味の無さそうだった織田の眉がピクリと動く。ジト…と上目遣いで睨まれたが、こいつの魚に対する貪欲な欲求は一体どこから来るんだ。 「…仕方ねえな」 胡座をかいたままだった織田が、スッと腰を上げ腕を掴んでいた俺の手を無視して体を押した。 腕を引き抜かれるのではなく、まさかこちら側に力が加えられるとは思わずバランスを崩し、ベッドの上に尻餅をついてしまう。 さらに額に痛いぐらいの力を入れられ、俺は反動で織田を見上げる形でグキッと首が悲鳴を上げた。 「いって…!お前、謝る気あん…」 仕方ない、というから謝る気なのかと思ったのになんだこの所業は。 文句を言おうとした俺だったが、言葉が途中で途切れてしまう。正確には途切れざるを得ない状況に陥った。

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