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02
「よっ、律」
「智ちゃん、おはよ~」
俺の予想通り、のんびりとこちらに向かって来ている律の姿を見つけた。
最近律は織田が朝練に起きれなかった時には、こうして部活が終わってからこちらまで織田を迎えに来るようになった。ほんっと愛されちゃって羨ましい。
律は俺の前まで来ると織田同様、首元に視線をやり、ゆっくりと両手を伸ばして襟に触れた。
「智ちゃん、不良ー?」
「なんで?…あ」
そういえば第2ボタンまで開けたままだったと気付いたが、それを小さな子供を相手にするように律が留めてくれた。
「不良にイメチェンでもすんのー?」
「んなわけねーだろ。一応委員長だぞ、俺」
「クラスメイトの名前ぜんぜん覚えてないけどね」
「うっせー!…ちなみに織田ならまだ中だぞ。お前らほんとラブラブだよな」
「ラブラブなのかなぁ…」
一瞬律の顔が曇る。何を不安がることがあるのか。一番の被害者である俺が身をもって確認してやったんだ。これ以上の信頼性がどこにある!
「なーに言ってんだか。自信たっぷりなのがお前だろ?織田に関してだけ弱気すぎだっつの!んじゃ、俺先に行くからあいつのことよろしくー」
「一緒に行かないの?」
「ハッシー先生に職員室寄るように言われてんだよ。また後でな!」
律がまだ何か言おうとしていたが、俺は気付かないフリをして律の横を通り抜けて階段に走った。
まあ、嘘だけど。
2人きりにさせてやろう、という俺なりの優しさだ。というか実は密かにある計画を立てていた。
その名も…「新しい友達作ろう大作戦」!
はい拍手ー!パチパチパチ。
前回のは巻き込まれただけとは言っても、よくよく考えると俺にも反省すべき点はいくらかあったと思う。
まず何より親しい友が律だけ、というこの現状が良くない。
会話するのだって、今のところ律と同室の織田だけだ。
だから、お互いの嫉妬の矛先が俺に向いてしまった訳で、俺の交友関係があまりにも狭すぎる。
これは由々しき事態である。
ならば、俺が律以外の友達を作ればいいのでは、と考えたわけだ!そうすれば、律といる時間も話す相手が織田だけということも無くなり、2人は俺抜きでしっかりと愛を育んで行けるわけですよ。
最初から分かってたことだけど、律が俺だけで充分でしょ、なんて甘やかすから!
その言葉に甘えて、前と変わらず律と一緒に居たけど俺なかなかの邪魔者だったよね。
織田もなー、俺が邪魔ならそう言えばいいのに。変なとこ気ぃ使いーなのかな。
というわけで、とりあえず俺は今日から新たな友達を見つけることにしたのです。
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