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03
「………つーか、友達ってどうやって作るんだよ…」
友達の作り方が分からない現役男子高校生。
特に何もできず1日の学校生活が終わろうとしている。
放課後の誰もいない教室の窓辺にもたれかかり、俺は小さく溜息をついた。
まずはクラスメイトからだ!と意気込んでとりあえず気が合いそうな奴を探してみたが、なにせ名前と顔が一致しない。俺が唯一、一致してるのは何気に1年のときからクラスが一緒の石田くんくらいだが、彼は多分律が好きなので俺はあまりよく思われてない空気が伝わってくる。
やっぱ最初の「席交換して」事件が一番の要因だろうな…。これ律のせいじゃん。
あとは当たり前だが既に系統ごとにグループができていて、どこに声をかければいいのかもイマイチぴんとこない。
おかしいな。俺、別にコミュ障とかじゃねーんだけど。そもそも律以外に友達と呼べるほど親密になれた奴って居たっけ…?
父親の転勤と同時に小学校に上がる前に引っ越してこの町に来た俺だが、ここで一番初めに会話をした同世代の男の子が律だった。
いっちょまえに入学式で緊張していた俺に、出席番号順に並んで座ったパイプ椅子の前に居た律。左から右に番号順で座ってたから、ちょうど前後になったんだ。
既に左右の子達と仲良くなって喋ってた律の後ろ頭を、いいなー俺とも話してくれないかなー、なんて思いながら見つめていたのを良く覚えてる。
俺の食い入るような視線に何かを感じたのが突然律が後ろを向いたんだ。
テレパシーが通じたのか!?とびっくりする俺の顔をマジマジと見た律は、パッと表情を明るくして体ごとこちらに向き直ると
『きんちょうするね!』
と笑顔で笑いかけてくれた。
あれが記念すべき律とのファーストコンタクトである。
そのあと教室も一緒で、今度は前から番号順に並んだ机で律と横同士になった。あれはもう半端なく嬉しかったな。ここでも前後の友達に話しかけられていた律だったけど、俺が隣の席なのに気付くと、持ち前の愛想の良さとコミュ力の高さを発揮して来たっけ。
『さっきのコだ~!なまえ、なんてゆーの?』
『あっ、ぼく、すえなが とも』
『ともちゃん!ぼくはあさくら りつだよ』
『りつ、くん』
『よろしくね!』
『うん!よろしく!』
「…律、昔は可愛かったなあ…」
今はあの頃の可愛かった姿は見る影もなく、デカくなってしまった。ほとんど変わらなかった俺の身長を越えたのは何年生の時だっただろう。
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