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04
ボケーと青空の広がるグラウンドに見上げながら、すごい懐かしい気分に浸る。
あれから俺、律以外にまともな友達できたことないわ。理由はなかなか黒歴史だから、あまり思い出したくない。
とりあえず、あれだろ?名前聞いて、自分の名前名乗ってこれからよろしくと言えばお友達…なわけねーわな。
「お友達か~」
窓辺に設置されている転落防止の手すりに両手を添え体を預ける。
お友達なんてな…そもそも作ろうと思って作れるもんじゃねえしな…と根本的な結論に辿り着いて、溜息とともに手すりに重ねた腕の上に顎を乗せる。
階下に広がるのは綺麗に剪定された緑と、陸上部が走幅跳をしていたりウォーミングアップを行なうグラウンドだ。
「……ん?」
みんなこの暑いなかよくやるわ、なんて呑気に見ていたら1人ホワイトとネイビーのユニフォームに身を包んだ生徒がフラフラしながら歩いていることに気付いた。
遠目から見て多分――俺の得意ではない、サッカー部。
あの上下の爽やかなカラーは俺の記憶が正しければうちのサッカー部のユニフォームだ。サッカー部員に間違いは無いだろうが、それにしてもめっちゃ体調悪そう。
もう結構暑いし、練習がハードなのかも知れない。体育館も蒸されるって律が言ってたし運動部は大変だなあ…と他人事のように見ていたら、その生徒は木にもたれかかる様にしてズルズルと倒れ込んでしまった。
「えっ……」
ガバッと顔を上げて勢いよく下を覗き見る。
ただの休憩で木陰に入ったんならまだしも、座り込み方が異常だった。熱中症とかで意識失ってたりしたら心配なんだけど。
少し様子を見ようと思ったが、どうやら俺は根っからの世話焼きらしい。
気付くと足は校庭に向かって走り出していた。
行くまでに居なくなってくれてたら動けるという事で安心なのだが、先ほどの場所まで降りてくるとまだ彼は木陰で座り込み、片膝を力無く立てたまま項垂れていた。
えー!?
ちょっとやべーんじゃねえの!
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