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「おい!きみ…えーと、先輩だったらすみません、大丈夫?…ですか?」 傍に寄って肩に手を掛けるともの凄く熱い。体が熱を吸収してしまってるみたいだ。 しかし俺の声に反応するようにゆっくりと顔を上げたのでほんの少しホッとする。生きてて良かった。 「ぁ…あ~、だいじょ、ぶっす」 具合が悪いのか声が掠れている。 「大丈夫って…顔も、結構赤…い…」 そこまで言って驚きに次が続かなかった。 何に驚いたかというと彼の顔の造形だ。 黒髪の無造作ながら清潔感のあるさっぱりした髪型の下にそれはまあ整った顔立ちが見えた。 整えられた釣り気味の眉にスラッとした鼻筋。目は一重だが、とても大きな瞳だ。はあ、と辛そうに息をする口元は不謹慎ながら色っぽい。なんて言うんだろう、こういう人。 あ、あれか。いつぞや流行った塩顔イケメン!今も流行ってるのかは知らないが、さらりとした顔付きは好感を得る。 と、塩顔イケメンの実況をしている場合じゃない。 「頭痛とか、吐き気とかする?」 「うぅん…?…頭痛ぇかな…」 「熱中症だろ!保健室行こう!歩けるか?…ますか?」 「いや、ここで…休んでたら多分だいじょぶ…」 大丈夫だと遠慮する彼の顔を見る限り大丈夫ではない。なにを呑気なことを言っているのかと無理矢理肩を掴んで自分へもたれ掛からせるように立ち上がる。 「んなこと言って、大変なことになったらどうすんだよ!運動部なら熱中症がやべーの知ってんだろ!?いいから行くぞ…ますよ!」 何年生なのか分からず、タメ口と敬語の入り乱れる俺は、わりとテンパってる。気迫に押されたのか、彼は相変わらず辛そうな声で「…悪い」と呟いて俺に合わせて足を踏み出した。

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