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「えっ…末永?なに、どうしたんだ」 突然笑い出した俺に藤白は、頭にハテナマークが浮かんでいるみたいで、キョトンとしている。 「いや、ごめん。なんでもない。奢るとか全然いいから気にすんな。…じゃあ、俺はそろそろ行くわ。お大事にな」 「あー!待って待って!」 「ん?」 「明日!昼休み迎え行くから…B組だろ?俺の気を済ます為に付き合ってくれ!頼む!」 「俺の気を済ますって…正直過ぎだろ。…まあでも、そこまで言うならゴチになりまーす」 律儀なのか、はたまた自分に正直なだけなのか微妙な藤白に笑い掛けたあと、俺は消毒液の匂いのする保健室を後にする。 「………しまった」 そのまま寮に帰ろうと思ったが、そういえばカバンを教室に置いたままだった、と扉を出た後に気付いた。 ーーー 「美味い?」 「………普通」 「そうかそうか。美味いかー、良かった良かった」 「うぜえ」 ウザいと顔に書いてあるような表情でジロリと睨まれたが、今の俺は気分がいい。 人助けとはなんと心晴れやかになるのか。あんなに純粋にお礼を言われたのは久しぶりだ。 織田にうざいと罵られようと、綺麗な顔を歪めて鬱陶しそうに睨まれようとも腹が立たない。それにこいつはなんだかんだ言って必ず完食してくれるし、本当は美味しいんだろ?分かってるよ、素直じゃないんだから、もー。 「…腹立つからやめろ、そのニヤケ面」 床に胡座をかいて座り込み、ローテーブルに両ひじを付いて晩飯を食べる織田を見上げていたら忌々しそうに言われた。 一瞬心の声が漏れているのではないかと思ったが、どうやらニヤニヤしていたらしい。 仕方ないじゃないか。 お前が俺に対して優しくないから、ありがとうなんて優しい言葉を掛けられただけでテンション上がってニヤニヤしちゃうんだろ。 ちなみに、俺は既に食べ終えて、律はバスケ部の先輩に強制的に食堂へ連れて行かれたらしい。 織田は捕まる前に風の如く逃げて来たか、誘うなオーラをこれでもかと撒き散らしていたのか。まあどちらにしてもあらかた想像はつく。 「今日は久々にお風呂溜めちゃおっかな~、織田くん先に入る?それとも俺先入っていい?」 「…なあ、なんでそんな機嫌いいの?キモいんだけど」 「キモい?そうか、キモいか~。平凡男子からキモいに格上げか」 「いや、格下げだろ。馬鹿か」 「………先、入りまーす」 手厳しい。流石にこれ以上絡むとガチギレされそうなので、よっこらせとテーブルを支えに立ち上がった。

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