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藤白を見上げながら律が自分の椅子に腕を回しながら不思議そうに聞いて来た。答えようと俺が口を開けるよりも先に藤白が律に体を向ける。
「藤白悠真だよ。F組の」
「藤白?…あ~、サッカー部の。次期キャプテンでしょ?」
「知ってるのか?まあ俺も浅倉のことは知ってるけどな」
「あらー、それは光栄なことで」
律がはは、と笑う。同学年で律のこと知らない奴はまあ居ないだろう。もちろん色んな意味でだけど。
「そんで、藤白クンがどーしたの?」
「ああ。末永と飯食おうと思ってさ。2人はいっつも一緒に食ってるのか?」
「智ちゃんと飯?なんで?」
律が藤白の質問に質問で返すから、えっ?と藤白が一瞬困惑した顔をする。律め、変なところで食いついてくるな。
「あー、と、藤白!まず俺と律はいつも飯一緒に食ってるけどそこは問題ない。あと律。藤白と俺は飯を一緒に食う約束をしたのでこれから供に飯を食う。以上。分かったか?」
「おう、分かった」
「あ、いや!藤白に言い聞かせたわけじゃなくて…」
「んー意味分かんない。藤白クンと智ちゃんの接点てなによ?」
「お前に言い聞かせてんだよ律!聞きたいことはあとでゆっくり聞かせてやるから!」
「俺も一緒に行く」
「は?」
「浅倉も行く?俺は別にいいけど」
「わーい。玲哉も呼んでくるね~」
律は藤白の返事を聞いた瞬間パッと立ち上がると、そのまま足取り軽く歩いて行く。目で追えば窓際の織田の元へ向かい笑顔で何かを伝え、織田が一瞬ものすごい嫌そうな顔をした。
チラリとこちらを見て渋々といった様子で頷くと怠そうに席を立つ。な、なによ…?
「なあ、末永。もしかしてあいつが噂の超美人な転入生?」
俺と同じようにその様子を見ていた藤白が俺に近付いてコソッと耳打ちをしてきた。
「ああ、そうだよ。織田玲哉。でもあいつの前で美人とか綺麗とか言うとマジでガチギレされるから禁句な?」
「へえ。まあ、そりゃそうだよな。いくら綺麗だからって男なんだし」
……ん?
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