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「藤白、ちょっと」 サッカー部と別れ、再び4人になったところで横を歩いていた藤白に顔を寄せ耳打ちをした。 「ん?」 「俺の紹介はもういいよ。サッカー部の奴らが紹介して欲しいのは俺じゃなくて後ろの美男美女だからさ」 美男はまだしも美女というのが聞かれたら面倒臭いので小声だ。 「え?そうなのか?」 「そりゃそうでしょう!男はみんな欲望にまみれてんだから」 「末永も欲望にまみれてるのか」 「…まあ、まみれてるかまみれてないかで言えばまみれてるのかもしれないけど」 「?…でもあの2人を紹介しても2人が困るだけだろ?」 「そうだな、それは正論だ。でもな、だからと言って俺を紹介されたところで俺も困るというか、相手も困るというか…言ってる意味、分かる?」 「………ああ!そっか!そうだな!そういやそうだ!悪い悪い」 ようやく理解したのかアハハと楽しそうに笑い出す藤白。 やっぱこいつ絶対天然だよ。俺の周りに居ないタイプだ。 「なにー?なんの話してんの?俺も入れて~」 藤白が何となく掴めたところで、後ろから律が俺たちの間に顔を出してきた。 「うわ、入ってくんなよ!」 「うわって、何よ!うわって!智ちゃんヒドイ。俺をのけ者にするなんて…」 よよよ、と泣き真似をする律の向こう側で藤白が慌てたように律の背中をさする。 「浅倉…!大丈夫か?話入れよ!って言っても大した話してないけど…というか、なんの話してたっけ?」 「藤白クン、キミ優しいけど大概ヤバイね!ねえ、玲哉。藤白クンヤバイ。面白い」 「そりゃ、良かったな」 「浅倉に褒められると照れる」 「………」 一体全体どっから突っ込めばいいのやら。ツッコミどころか多すぎて、早々に会話の軌道修正をすることを放棄した。 何この空間。 律、藤白に興味津々かよ。織田は織田で興味無いの丸分かりだし。藤白は俺の中ではニュータイプ過ぎて対応に時間差が生じる。カオスだ。こうなったらできるだけ早く食って、できるだけ早く教室に戻りたい。 安定の突き刺さるような視線も痛いしさあ。言わなくたって俺が場違いなのは分かってますから。 何よりこの視線に若干慣れつつある自分が怖い。

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