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な、なんだと。そんなお前…俺が苦労したリアル友達申請をサラッとこなすなよ。確かに今日の昼飯は変な組み合わせだったのに後半は意外と楽しかった。だけど、そんな…
「もちろん。浅倉とも仲良くなりたい」
藤白は俺の心の葛藤に気付くわけもなく律に携帯を向けた。
まあいいか。みんな仲良く。これ鉄則。
2人が連絡先交換を終えるのを横で待っていると、無事交換を終えたのか藤白が顔を上げ「織田ー!」とまさかの名を呼んだ。
「織田も連絡先、交換してくれないか?」
その途端騒つく教室内。まさにザワッ、という擬音がぴったりのどよめきが起こる。
藤白は大して気にしていないようだが、呼ばれた織田は椅子に座ったまま怪訝な顔でこちらを向いた。
俺は慌てて藤白の前に立ちはだかる。
「藤白!織田は、あーと、その、あんまりそういうの好きじゃない気がする、というか」
つーか、よく律の目の前で恋人の織田の連絡先なんか聞けたな!!嫉妬の火の粉が飛ぶぞ!?
お前も阻止しとけよ、と律を見上げてみたが意外や意外、通常通りの表情をしていた。
…嫌じゃないの?
だが、織田の地雷を何度も踏んだ藤白に連絡先なんか教えるだろうか、と織田を振り返ると何を考えてるのか無表情のあと「いいよ」と答えた。
「マ…マジ…?」
なんでオッケーなんだよ。
織田の返事に藤白が嬉しそうに教室に入って行きクラスメイト達の視線を一身に浴びながら連絡先の交換をしている。
俺とは違って藤白も顔良い族なので、浴びる視線は冷たい視線ではなく、どちらかと言えば熱い視線。果たして織田が羨ましいのか、藤白が羨ましいのか…
様子を見守るだけの律に小声で「いいのかよ」と尋ねると苦笑いを浮かべた。
「藤白クン、ノンケっぽいし」
律の返事に俺もノンケなんだけど何で俺にはあんなに怒ったんだよ…とほんのり理不尽を感じてしまったが、ああやって怒られるのもきっと最後だ。
これからは藤白とも仲良くして律と織田の仲は邪魔しない!そして訪れる俺の平穏な日々!ウェルカム ハッピーデイズ!
…が、訪れるはずだったんだけど。
あれから数日、目の前に広がる光景に俺はただただポカンと口を開けていた。
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