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「……ま、そんな冗談はさておき……そういえば俺デザート買ってきてないのを今!たった今思い出した!ちょっとダッシュで買って来ていい?いいよな?じゃっ、失礼!」 無理矢理話を変えてみたが苦しさ満点。 もちろんデザートなんてそんな洒落たものを用意する予定なんて微塵もなかったが、居たたまれなくなり財布片手に部屋を飛び出した。 「きも…」 他の誰でもない自分が。 後になればなるほどとんでもなく恥ずかしい。先ほどの言葉を要約すると、俺にももっとかまって欲しいという恐ろしく気持ち悪い発言になるわけだが、あの台詞を織田が言ったのならめちゃくちゃグッときた筈だ。 しかしイケメンでも美少女でも女子でもない普通男子が友達に言う台詞としてはキモすぎる。 絶対藤白引いてるし、あーもうほんと最悪… 蛍光灯が点々と付いた、昼間に比べかなり暗くなった階段をとぼとぼと降りていく。 あーあ、律とか追いかけて来てくんねえかなー。智ちゃんさっきの何?超ウケる、とか言って笑い飛ばしてくんねえかなー、マジで。 そんなことを期待していると想いが通じたのか、俺が来た道を誰かが走って降りてくる音が聞こえて来た。 「末永!」 「りっ………藤白…」 「え、そんなガッカリする?戻ろうか?」 俺の顔と反応を見て、躊躇いもなくUターンをしようとした藤白を慌てて呼び止める。 「嘘嘘嘘!ちょっとまさかの相手だったからビックリしただけでガッカリはしてないっす!ほんとに!」 「そうか?じゃあ、戻らない。売店だよな?俺も行く」 「…おー」 今世界で一番気まずい藤白が横に並んだ。 並ぶと分かる。こいつも背が高い。律と同じか、それ以上か。 それに織田ほど白くはないが、室内競技の律と同じくらいには肌が焼けてない。 前回の軽い熱中症で火照っていた頬を思い出して、だからあんなに色気があったのか?と関係ないことを考える。 「ごめん」 「……ほ?」 突然の謝罪に隣を見る。 当たり前だが脳内に居た頬の赤い藤白は居ない。代わりに申し訳なさそうに眉を下げる藤白が居た。 「感じ悪かった、よな。全然意識してなくて…」 「そ、それはあれ?さっきの俺の話…?」 「そう。…あのさ、ちょっと俺の話していいか?」 「…どうぞ」 自分が気持ち悪い発言をしたことを脳内反省したばかりなので、何を言われるのかと身構える。 そんな俺に気付いているのか、いないのか。 藤白は一呼吸置いて、口を開いた。 「俺、もしかして男に欲情できちゃうかも知れない」

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