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髪を乾かし終えた織田がテーブルの向こうの勉強机に座っている。片足を立ててヤンキーみたいな格好でペンを動かし出した。 あ、そういや今日数学の課題出されてたんだっけ。プリント1枚だからそんなに時間はかかんないけど、俺もとりかからねば。 よし。 念のための確認事項だ。こういうのは早めに終わらせとくに限る。 「織田」 「………」 「織田くん」 「………」 「玲…」 「は?呼び捨て?」 「すんません」 氷の表情を向けられ、脊髄反射のように謝った。反応がはえーよ。せめて哉まで言わせろよ。 「変なこと聞いてもいい?」 「30文字以内」 「…織田は律と別れる気なんてさらさらないよな?」 「…あぁ?」 勉強机に向いていた顔が再びこちらを向いた。 今度は氷の表情じゃないけど、訝しげな表情をしている。 「や、ほんっとに変な質問だし何言ってんだよって感じだけど、ちょっとした好奇心的な」 ぽいっとペンを投げ捨てて織田が立ち上がる。何故か俺の方に歩いてきて、何故か俺の横に腰を降ろした。…何故? 「え、なに」 「嫌になってきた?」 「え?」 「友達も居ないのに大切な親友取られて、そろそろ嫌になってきたんじゃねえの?」 織田が近い。そりゃ2人掛け用のソファに男が2人座ってんだ。近いに決まってる。それにそもそもこいつは人との距離が近いんだ。…でも藤白と座ってる時もこいつこんなに近かったっけかな。 「嫌、じゃないです。全然。高校生にもなって?親友取られて寂しいなんて、んなこと微塵も思ってないです」 織田の距離にキョドって敬語が出る俺。 あんまり近いと、その、色々思い出しちゃうじゃん?色々…って、やめろ!風呂上がり超いい匂いとか思うな俺!こいつ男だぞ!?嗅ぎ慣れてんだろ! 「アンタが別れて欲しいって言うなら…」 「別れんの!?」 つい数秒前までお互いの距離にあーだこーだ考えていたが、織田の思わせぶりな台詞にバッと顔を寄せて驚いた。 「おまっ、まさか律と別れるとか考えて…!?好きじゃなくなったのか?…俺が言う事じゃないかも知んないけど、あいつお前のことめちゃくちゃ好きだぞ。冗談抜きで。大切にしてくれてんじゃねーの?」 織田が別れたいなんて言えば律は絶対傷付く。大切な親友の傷付いた顔なんて見たくない…し、きっと超絶面倒臭い。

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