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Ⅱ 今日から俺は③
俺は反対したんだ。
幾ら訓練だからといって、実弾を使用するのは危険だと。
しかし。
総理は譲らなかった。
実戦に基づいてこそ、学ぶものが大きい。と……
こうして、実弾を装備した拳銃を使っての訓練は決行された。
「拳銃が暴発して、怪我をしたらどうするつもりだった?」
「だから、あなたがっ」
実弾訓練を決行したんだって!
実弾が入っているから、俺は胸を狙っただろう。
腕や、脚、頭じゃなくて。
心臓を。
「万一に備えて、防弾チョッキ着用してるでしょ」
「そんな物、着ていない」
………………いま、なんて?
「なんで着てないんですかーッ!」
俺はもう少しで、あなたを。
大日本帝国 総理大臣を殺すところだったんだぞー!
今頃になって、ガタガタ全身が震え出す。
「この国の未来を担う若者が、全霊を賭して立ち向かってくるのだ。そんな物が着られるか」
ひた向きに前進する若人 の心を真正面から受け止めてこそ。
「大人であり、維新を生き抜いた漢 の心意気だ」
「それとこれとは別!防弾チョッキは着てください!」
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