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【僕とお兄様の夏休みの課題】ゆまは なお

「お帰りなさい、春兎(はると)お兄様」 「ああ」 朝食の席に兄がいた。 夏季休暇に入って、昨夜のうちに戻ったらしい。 高校3年生の兄は全寮制高校の寮で暮らしている。 およそ4ヶ月ぶりに会う兄は、相変わらず美しかった。 食後のコーヒーを飲みながらちらりと僕に目を向ける。 「少し背が伸びたようだな、郁(いく)」 「はい、お兄様」 僕が席に着くとメイドが紅茶のポットを持ってきた。 「おはようございます、郁坊ちゃま」 「おはよう」 カップに満たされた熱い紅茶を飲んで、今朝のメニューを決める。 「マフィンがいいな。目玉焼きは固めの半熟で」 「かしこまりました」 メイドが下がると、兄はじっと僕を見つめた。 「後で部屋に来い。みやげがある」 「はい、お兄様」 大人しく返事をしながら思う。 今回は一体どんなみやげなのやら…。 「郁、脱いでみろ」 朝食を終えて兄の部屋に来てみれば、兄は一言冷たく命じた。 ソファに座ってゆるく足を組んでいる姿は美しく優雅で、僕はひっそりため息をつく。 半袖シャツとひざ上までのショートパンツだけだから、あっという間に裸になってしまう。 貧相な僕の体を一瞥して、兄はゆったりと手を伸ばした。 するりと肩から背中、腰まで撫でおろし、軽いタッチで性器に触れた。 ぴく、と体が揺れる。 「背は伸びたようだが、ここはあまり成長していないな」 18歳の兄から見れば、10歳の僕などまるで子供なのだろう。 大きな手の中に包み込まれた。 やわやわと温かい手で弄ばれて、ぞわぞわした感覚が生まれてくる。 もう片方の手は肩から胸へと降りてきて、きゅっと小さな突起を指先でつまんだ。 「あ…、お兄様」 「じっとしていろ」 体中を撫でられて、それ以上にじっと見つめられて、僕は胸をざわつかせた。 リズムカルに手を動かして反応した僕にうすく微笑む。 「勃起はするんだったな」 「…はい」 恥ずかしくなってうつむくと、兄はそっと口づけてきた。 ソファにゆったり座る兄は、もう何年も前から僕に触れている。 すっかり慣らされた体は兄の手に敏感に反応してしまう。 「ん…、あ…」 身体に熱がこもって熱くなる。 でも熱くなるだけで、解放する術を僕は持っていない。 ずくずくと疼く体を持て余すだけだ。 「射精したことは?」 「ありません」 「ふん。精通はまだか」 あからさまな言葉に僕は困ってしまう。 保健の授業で習ったけれど、体の小さな僕にはまだその現象は訪れていない。 「じゃあ、この夏休みの課題にするか」 兄は楽しげに唇を上げて微笑んだ。 それから毎日、兄の部屋に呼ばれては、戯れのように体に触れられた。 服を着たままの兄の前で、僕は全裸になりソファやベッドで兄にいいようにされる。 「ここが感じるのか?」 「……は、い」 意地悪な言葉を囁いてはまだ未熟な性器を弄り、体中に口づける。 「郁、気持ちいいか?」 「はい、気持ち、いい、です」 僕はうすい胸をあえがせて、必死で答える。 体内にこもる熱は上がる一方で、身をよじりながらどうにかしたくて涙目になっていた。 小さな性器は精いっぱい天を向き、とろりと先端を濡らしている。 兄はそれを唇で吸い取った。 「ひゃんっ」 そのまま口の中に含まれて、腰をよじった。 「やめて、もう…」 いやいやと首を振っても、兄は許してくれない。 飴でも転がすように舌で弄りまわして、僕が乱れ泣くのを楽しんでいる。 「嫌じゃないくせに。ほらいっぱいこぼれて濡れているぞ」 そのうち、後ろに違和感を覚えた。 小さな窄まりを兄の指がやわらかく押す。 「ここも、そろそろいいかもな」 そろそろいい? 何が? 意味がわからなくて見上げる僕に、兄は何かをたくらむ顔で笑う。 「そういえば、みやげを渡すのを忘れていたな」 体を起こすと、小さな包みを兄が寄越した。 「開けてごらん」 促されてその場で包みを開けた。 中から出てきたのは細長くて丸い感じの不思議な形をしたゴム製の何かだった。 「これは何ですか?」 「お前が悦ぶものだ」 何なのかわからず首を傾げると、兄はこれ以上はない優しい顔で僕に告げた。 「これをお前の中に入れたら、きっと気持ちがいいよ」 「え…?」 僕の中に入れる? 「そう、ここでイケるようにね」 そう言いながら、兄はいたずらするように双丘の奥に指を滑らせた。 「春兎お兄様っ」 「どうした?」 「無理です、そんなの」 「どうして?」 泣きそうな僕に、いっそう優しい声で兄は尋ねる。 「だって、そんな…」 何を言えばいいかわからず、僕は口ごもる。 「体が疼いて仕方ないんだろう?」 「それはっ…。でも、こんな…」 「でも何だ?」 「入らない、と、思い」 ばしっと最後まで言わせず頬を打たれた。 じん、と頬が熱くなる。 冷たい眼で兄は僕をちらりと見る。 こういう時は危険だ、何を言いつけられるかわからない。 「俺が選んだみやげに不満でも?」 「いいえ、そういうわけじゃ」 「では自分で入れてみろ」 手の中の無機質な物体が、急に生々しく感じられた。 ここに座れと命じられたのは、ライティングデスク前の椅子だった。 ゆったり造られた座面は体の小さな僕が座ると両サイドが空いている。 そこに両足を上げるよう命じて、兄は向い合せにソファにゆったりもたれている。 兄の前にすべてをさらけ出す格好で、足首は絹のリボンで椅子の肘掛けに結ばれた。 「ほら、お前の好きに弄ってみろ」 冷たい微笑みでそう命じて、兄はビデオをセットする。 「録らないで、お願い」 「誰にも見せないよ」 兄はやさしい手つきで僕の髪を撫で、頬にキスをする。 「お兄様は郁が大好きなんだ。だからお前の成長を記録しておきたいだけだよ」 「…でも恥ずかしいんです」 「確かにそうだな」 兄は首を傾げてしばらく考え、こう言った。 「では目隠ししておこうか」 「春兎お兄様っ」 「どうした?」 「お願いします、録らないでください」 「さっきも言っただろう? 誰にも見せないし、お前の成長記録だよ」 断固として引く気のない声。 「どうする? 目隠しするか?」 涙目の僕に兄は容赦なく選択を迫る。 「わかりました。目隠ししてください」 まだそのほうがマシかとそう言った。 でもそれは兄の罠だったんだ。 「ほら、これを持って」 自慰をするように言われ、じゅうぶんに勃起したところで、右手にさっきのみやげを持たされた。 「じゃあ自分でほぐして入れてごらん」 「ほぐす?」 「そう。いくら小さくてもいきなりは入らないだろうから、指を入れてほぐしてからのほうがいいだろう?」 そうとわかっても、怖くて恥ずかしすぎて自分で入れるなんてとてもできそうにない。 涙があふれて目隠しの布を濡らした。 力なく首を横に振ると、兄はやさしい声を出した。 「お兄様の言うことが聞けない?」 「聞きます。でも、僕…、怖くてっ、そんなところ…」 「そう、怖いのか。じゃあ俺がほぐしていいか?」 「そんなの…ダメです」 そう言ったのに、兄が急にそこに触れてきた。 何か塗ったのか、ぬるぬるした感触が気持ちわるい。 思わず腰を引こうと浮かせた途端、ぬるりと指を押しこまれた。 「あっ」 「動くなよ、傷つくぞ」 そう言われて動けなくなる。 見えないから余計に恐怖心が大きかった。 初めての感触に緊張して、どうしようもなく体がこわばった。 「中、熱いな」 兄の指がゆっくり進み、中を探るように小刻みに行き来させ始める。 「あ、あっ、ダメッ…、お願い…っ」 兄の入れたおもちゃが、どこかに触れるたびに体が跳ねた。 最初は違和感で気持ち悪かったはずなのに、指を抜かれておもちゃを入れられたときには中がじんじんと熱くなっていた。 性器の先端からとろとろと滴り落ちた露で、そこはもうぐしょぐしょになっている。 「ほら、もうイケそうじゃないか?」 「ああ、あっ、もう嫌っ…、いやぁ…」 「嫌だって言うわりに、ここは悦んでるみたいだけどな」 くりくりと先端を弄られて、僕は初めての快感で泣き叫んだ。 「やめて、触るの、ダメっ」 兄はさっと手を引いたかと思うと、 「やっぱり初めて逝くときの顔が見たいな」 そういって目隠しを外した。 「ほら、逝けよ」 「あ、あ、いやっ、いやぁ…、っ、あ、あっーーーーー」 兄の手に性器を擦られて、後ろをおもちゃに突き上げられて、限界が来た。 その瞬間、目の裏が真っ白になり、がくがくと勝手に腰が揺れて背筋を快感が突き抜けた。 びくびくと体を弾ませて、僕は生まれて初めて射精した。 ぐったり脱力して背もたれにずるずるともたれこんだ。 兄は一部始終をビデオに収め、満足そうに微笑む。 「本当に郁はかわいいな」 その言葉を最後に、僕の意識は途切れた。 目を覚ましたら、ソファの上にいた。 正確には、ソファに座った兄の膝の上に寝かされていた。 「…春兎お兄様」 「起きたか。いい子にできたな」 すでに体はさっぱりしていて、後始末してもらったことがわかった。 「気持ちよかっただろう?」 僕は真っ赤になって答えることができなかった。 でも兄は機嫌を損ねることなく、涼しげに笑う。 「精通おめでとう」 「…ありがとうございます……」 「これからも練習して、もっと気持ちよくなろうな」 夏休みはまだまだ残っている。 完

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