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ブルーラグーン

 俺と明家の付き合いは、二か月になろうとしていた。  今は平日も時々、連絡がある。仕事が終わる少し前に、メールが入る。『今日どっか飲みに行こう』と。  俺はそのメールを、どこかで楽しみにしている。  当然のように、土日どちらかは、一緒に食事に行ったり、ドライブに行ったりした。たまに、映画や芸術鑑賞なんたこともあった。  明家の趣味は驚くほどに広い。ゲームや漫画ばかりかと思えば、美術なんかも好きだと言って誘ってくる。  料理も上手かった。旅行も好きらしいが、一人はちょっと寂しいからあまり行ってないそうだ。  俺の視野も、少し広がった。ゲームは、今少しずつ教えてもらっている。やってみると、悪くはなかった。料理はまったくだが、今は明家の家で少し手伝っている。不器用だが。  明家は俺の出来ないことを笑わない。皮むきすら満足にできないのに驚きはしたけれど、「最初は皆ここからだ」と言って、根気強く付き合ってくれる。  それと、話をよくするようになった。俺の事、明家の事、家飲みの時は特にだ。  明家は子供の頃から色んな事をして過ごしていたようだった。やってみたい事を、禁止された事はないらしい。いい事だけじゃなく、悪い事も。事件にならない範囲の悪い事はしたそうだ。  親の言う通りに生きていた俺とは、だいぶ違う子供時代に羨ましいと思う。俺は規制が多かった。そこから外れる事を、両親は許してくれなかった。  そんな話をすると明家は『今は自由だろ? 羽伸ばさなきゃな』と言って笑い飛ばす。それは自然と、俺の中に落ちてきた。

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