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何処へ

「ふっ……んあ、徳永さん……」 あの時のように、擦られ、何度か達してしまった星一は、ひたすら徳永の下で喘いでいた。 二人とも服は床に散乱し、隣に聞こえないように、声を圧し殺して乱れていた。 「そろそろ、いいか……」 星一の先走りや吐精したものを、孔に塗り込む。ぐちゅぐちゅと濡れた音が部屋に響いた。 「天城、入れるぞ?」 「はい……入れて、下さい……」 徳永の勃ちあがったモノを、星一の孔に当て、一気に入れた。 「……っあぁ……んぅっ」 声を小さくした代わりに、体を大きく仰け反らせた。 「きついなっ……天城、大丈夫か……?」 「は、い……動いて下さい……」 徳永はゆっくり腰を動かし始める。 その腰に合わせて、星一も腰が浮く。 次第に動きが早くなり、奥に深く穿たれていき、星一は声をあげないように必死に徳永の体にしがみついた。 「天城……っ、イきそうだ……」 「はい……俺も、もうイきそう……一緒にイきたいっ」 その言葉を合図にするように、徳永はぐっと星一の腰を掴み、熱い白濁を注ぎ込んだ。 「……っ~~~~~~」 声にならない声をあげながら、星一は達した。 体の中に徳永を感じた星一は、体を売っていた時の空しさは消え、空っぽだった器が満たされていくのを感じた。 「……徳永さん、俺やっぱり、あなたが好きです」 絶頂を迎えた幸福感の中で、再度徳永に想いを伝える。 徳永は、くしゃっと星一の頭を撫でた。 「ありがとう」 徳永はそれだけ言って、布団に横になった。 星一もいつの間にか、眠りの中に落ちていった。 朝、咳き込む声が聞こえ、目が覚める。 徳永が台所の流し台で、痰まじりの咳をしている。 「徳永さん?大丈夫ですか?」 「……っ大丈……ゴホッ……ゴホッ……!」 あまりに尋常じゃない咳に、星一は心配になって近づこうとしたが、「大丈夫だ……っ」と止められる。 「風邪、引いただけだから……伝染(うつ)るといけないから、俺は帰るよ……」 徳永は口元を押さえながら、アパートのドアを開けて、出ていき、古びた階段をカンカンカンと勢いよく降りて、走り去っていった。 あの朝から、星一は徳永と連絡をとっていない。 風邪だとは思えなかったが、具合が悪そうだったから、まだ治ってないのかもしれない。 治ったら、また連絡をくれるかもしれない。 それから待って、待って、待ち続けて………、3週間経った。 つい待ちきれず、星一は徳永の家に連絡してみた。 「え?引っ越した?」 そう教えてくれたのは、以前、徳永に電話を繋いでくれた女性だった。 役所の寮母さんらしく、徳永は二週間前に退職したことも教えてくれた。 役所を辞めて、どこに行ったんだ? 奥さんと娘さんは? 三週間前、咳き込んでいたことを思い出す。 嫌な汗が伝う。 星一は、役所に向かって走り出した。

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