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パーフェクト・ワールド・ハルΦ-6

「だから、もっと、よっちゃん達にも伝われば良いのになって思ったんだけど。ちょっと早かったかな。榛名ちゃんと仲良くなるには。嫌なことに巻き込んじゃってごめんね」  会長だったら、寮長だったら、もっと上手くやれたのかなぁ、と。反省して、同時に悔しく思ったのは秘密だ。けれど、初めて会った中等部の一年生だったころより、ずっと話すことが出来るようになった。いろんな表情を知ることが出来た。これは進歩だと思う。高藤はもっともっと、知っているのだろうけれど。 「よっちゃんが、言い過ぎたってさ。あの子も素直じゃないだけで、本当は悪い子じゃないんだよ。ただ、プライドが高いんだ。良くも悪くも」 「いや、……俺もあんなところで切れて、ごめん」  殊勝な顔で頭を下がる榛名は素直で、茅野や成瀬と言った上級生に可愛がられる所以なのだろう。 「まぁ、あと三年、一緒なんだから、どこかで仲良くなるかもしれないし」 「――うん、まぁ。……、うん」 「もちろん、俺ともね」  一瞬で嫌そうな顔になった榛名に、茶化すように続けると、予想外な応えがあった。 「俺、おまえのことは嫌いじゃないよ。良いヤツだと思ってる」 「榛名ちゃんって、本当……」 「なんだよ?」  きょとんと見上げられて、荻原は言葉を探って、結局笑った。「ううん」 「なんでもない。外、行こっか」

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