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パーフェクト・ワールド・ハルⅦ-7
「この間は、言い過ぎて、ごめん」
それが、どれのことなのかは、すぐに分かった。けれど。
「荻原にもさぁ、アレは俺が悪いって散々言われて、またそっちの肩ばっかり持つ気かよってちょっと頭に来てもいたんだけど。まぁ、でも、俺が絡んだのは確かではあるし」
「いや、俺も。……挑発に乗ったのは俺も一緒だし。キツイ言い方したと思う。そこは、ごめん」
中等部のころから、何かと嫌味を言われたことはあるが、謝られたことはほとんどなかった。だから、まさか直接言われるとは思ってもいなくて、応じる声もしどろもどろになってしまう。そんな行人を見てか、四谷が小さく笑って、筆に色を含ませた。
「知っていると思うけど、俺、高藤のこと好きなんだよね。結構、ずっと」
もちろん、知ってはいた。それがどれほどのレベルのものかは、知らないけれど。
「まぁ、全然、相手にされてないんだけど。榛名もご存じの通り」
「いや、……、うん」
「だから、つい、余計なこと言っちゃうんだよね。同室って言うのを差し置いても、榛名と高藤、仲良いから」
どこか羨ましそうな色が隠せていないそれに、行人は苦笑を零した。
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