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パーフェクト・ワールド・エンド13-6
「家の用事」
「そんな不審そうに繰り返さなくてもいいだろ、べつに」
「いや、まぁ、それはそうなんだが。時期が時期だから、ついな」
こんな声にもなるとぼやきながら、茅野が外出届に寮長の印を押す。
「泊まってはこないのか? べつに土日と外に出ていてもいいんだぞ」
「さっきと言ってること、違いすぎだろ」
別ベクトルで気遣っているのだろうことは分かっていたから、受け流して苦笑する。
「家よりこっちのほうがマシ。知ってるだろ」
「今のこの状態でもか」
「そう、そう。かわいそうに思うなら労わって」
「そういうことはおまえのかわいい弟分に言ってやれ。全力で労わってくれるんじゃないか」
いつもの調子で笑ってから、茅野がふと真面目な顔になった。
「あいつは知っているのか」
答えずに微笑み返すと、溜息ひとつで外出届が手元に戻ってきた。
「ちゃんと学校側に出しておけよ」
「さすがに、その手順は守る」
「あのな。どの手順も基本的には俺たち生徒を守るために存在するんだからな。もちろん、寮則も」
おまえもあいつも破り過ぎなんだと続いた愚痴に、成瀬は小さく笑った。
「さすがにこれ以上は破りようがないな」
おまえなぁ、とまた始まりそうになった説教を適当にいなして、茅野の部屋を出る。ここしばらく、向原が寮に戻ってきていないことは知っている。どこでなにをしているのかも。
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