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パーフェクト・ワールド・エンド13-8
「どうだった? ひさしぶりの下界は」
「感覚を正常に戻すためにも、たまには外に出ないと駄目だと思いましたね」
「そうだろう。良くも悪くも環境は人を変えるからね。いつまでも閉じこもっているだけじゃ、救いがない」
終えたばかりの診察の延長線のように繰り出された世間話に、そうかもしれませんねと相槌を打つ。隔絶された全寮制の学園から一歩外に出ると、異質さを痛感するのは事実だ。
「そのついでに、ここにも顔を出せばいい」
「外で、陵の制服を着ていると自意識過剰じゃなく視線を感じるから面倒なんですよ」
「仕方がないよ。その制服姿で出歩いている子は珍しいから。ただ幸いうちはそういう病院には見えないから。余計な心配はしなくてすむよ」
そこを心配したことはない。世間体を気にする母親がこの病院を選定した理由の一つだと知っている。頷くと、彼が電子カルテを一瞥して口を開いた。
「検査の結果を待たないことには正確なことは言えないけど、現段階での僕の所見を言ってもいいかな」
「べつに、要らないですけど」
「そのあからさまな態度も懐かしいな。取り澄ましてるよりはかわいげはあるけどね。まぁ、処方してもらうために必要な話だと割り切って聞きなさい」
得意だろうと昔から変わらない顔で笑って、続ける。
「きみのそれはね、メンタルの問題だ」
わかっていたが、言葉にされるとささくれる。そうですかと応じた声の気のなさに、彼は笑って肩をすくめた。
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